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グロブラー駐日南アフリカ共和国大使を招き第138回FEC国際問題懇談会を開催

南アフリカ 国際問題懇談会

2010年06月28日更新

日本・南アフリカ関係の現状と展望をテーマに講演

講演するグロブラー駐日南アフリカ共和国大使

講演するグロブラー駐日南アフリカ共和国大使

第138回FEC国際問題懇談会の開催風景

第138回FEC国際問題懇談会の開催風景

とき

平成22年(2010)6月28日(月)12時〜14時

ところ

帝国ホテル東京「なだ万」

概要

平成22年6月28日(月)にグロブラー駐日南アフリカ共和国大使を招き第138回FEC国際問題懇談会を開催

内容

民間外交推進協会(FEC)は6月28日、ガート・ヨハネス・グロブラー駐日南アフリカ共和国大使を帝国ホテル東京に招き、「日本・南アフリカ関係の現状と展望」をテーマに第138回国際問題懇談会・昼食会を開催した。サッカー・ワールドカップを開催した南アフリカは金、ダイヤモンド、希少資源等豊富な鉱物資源を有するアフリカの経済大国。日本とは政治・経済両面で良好な関係を進展させており、今年は交流100周年を迎えた。開会に際してFEC副会長の田中宏(株)クレハ相談役は、「日本は1918年ケープタウンにアフリカで最初の公館を開設し、近年の両国経済関係は鉱物資源を中心に発展している。日本は南アと協力しサブサハラの政治経済安定に関与すべき」と主催者挨拶。グロブラー駐日大使より、南ア経済の概況、対日交流関係などの基調講話があり、講話後出席者と一問一答の昼食懇談会が和やかに行われた。懇談会には、渡邊五郎森ビル(株)特別顧問、太田正利元駐南アフリカ大使、今田潔信越化学工業(株)顧問、米澤泰治米澤化学(株)取締役社長、渡部賢一野村證券(株)執行役社長兼CEOら多数のFEC会員が出席した。

グロブラー駐日南アフリカ共和国大使講話要旨

91年以前のアパルトヘイト下、南アの政治、経済、社会は世界から孤立していたが、94年の民主政権発足以降、民主憲法の下で経済社会の変化が進行している。人口構成は若く、活力ある経済で、一人当たりGDPは11千ドル。2004年までの10年間の平均実質成長率は3%、04年から08年は平均5%成長。10年は2.6%の予測。インフレ率は約6%。金融部門は高度に発達し、通信設備も近代化されている。金、ダイヤモンド、クロム、マンガン、プラチナ、チタン、パナジウム等天然資源は豊富で、埋蔵量は世界最大。中国、インド、日本の需要が強い。健全で安定した経済。財政赤字はGDP比7.3%、公的債務は同24%。13年以降低下の予測。失業率は24%と高く、政府は年初にエネルギー、運輸、医療、教育等800億ドルのインフラ整備計画を発表し、数年後の5%成長復帰が目標。若者の雇用創出が課題。持続的成長により教育訓練や健康管理の充実を図る計画。経済の多様化に製造業が注目され、産業政策の行動計画に反映された。

日・南ア関係は戦略的協力関係として、経済交流、グローバル課題に対する協調、人的交流の3本柱が外相会談で確認された。08年日本は南アの最大貿易相手国に。官民ベースの交流も活発。約90社の日本企業が進出。自動車、輸送、化学、金属、電機、宇宙、観光、食品等が日本にとっての有望分野。南アは自主的に核開発を放棄した唯一の国で、日本との原子力協力協定の年末締結が目標だ。石炭火力依存を低下させるべく、再生可能エネルギー(太陽光発電等)協力も進んでいる。ダーバン・ヨハネスブルグ高速鉄道計画やテレビのデジタル化計画に日本の技術導入が検討されている。南アはG20、気候変動等多国間の課題にも積極的に取組んでおり、日本とも協力したい。観光、文化、学術交流の活発化を希望。両国大学の副学長フォーラムは定期開催され、プレトリア大学に日本学研究所が開設予定。直行便も要望している。8月以降、外相やズマ大統領・閣僚の訪日予定がある。

懇談・意見交換

田丸 周FEC常任参与:FECは昨年12カ国の外国元首との懇談会・フォーラムを開催した。大統領ほかの要人来日時には、是非大使とともに同様の催しを開催させて欲しい。自動車工場の生産性は向上しているか。

グロブラー大使:お申し出感謝する。アパルトヘイト下で黒人の教育が遅れたが、今は数学、理科教育に注力し、技能も向上し、トヨタ、日産の首脳は南ア製車の品質に満足している。日本で販売されるメルセデスのCクラスは南ア製が多い。鉱山技術は高く、石油の30%は石炭から抽出されており、この技術は中国にも販売された。南アは電気自動車も開発した。

田中宏(株)クレハ相談役:大変美しい国。ワールドカップ効果から観光名所も注目されよう。治安対策は万全か。

グロブラー大使:スポーツを通して国民の一体感が生まれた。多様な国土で多くの観光名所がある。来年観光客は1千万人を突破しよう。貧富格差が犯罪の背景で、5百万人が近隣国からの不法移民者。治安対策は政府の最優先課題。日本からサッカー客約5千人が滞在しているが、盗難事件が1件発生しただけだ。FIFAは「今までで最良のワールドカップ」と評価した。

渡邊五郎森ビル(株)特別顧問:中国、インドの南ア進出について警戒すべき点はあるか。

グロブラー大使:中国はアフリカ各国に進出しているが、資源を買うだけでなく雇用創出や能力開発に貢献してほしいと要望した結果、行動変化が見られる。インドとは移民も多く、伝統的に良好な関係にある。

武居信男日蘭協会理事:雇用平等法に則して白人と黒人の感情面の融和は進んでいるか。

グロブラー大使:アパルトヘイト撤廃後相互に緊張しながら融和が進展したが、いまだに雇用平等法と経済的権利拡大政策について、どこまで進めるべきかが議論されている。アパルトヘイトを知らない子供達も多く、今後は急速に融和が進もう。

米澤泰治米澤化学(株)取締役社長:天然資源の保有者は財閥か、国か。

グロブラー大使:カナダと同様、政府が鉱業権(カストディアン)をもつ。

本間克巳(株)ジーアンドエイチ代表取締役:信仰は自由か、ミッショナリー家族色は強いか。

グロブラー大使:公用語が11あり、信仰は自由。殆どがキリスト教。布教機関は多く、会社経営も自由だ。南ア憲法は自由を保障し、同性愛者の結婚を最初に認めた。

田丸 周FEC常任参与:時間を超過するほどの盛況の懇談会だった。続きを是非、貴大使館で行いたいが。

グロブラー大使:次回、皆様を大使館にお招きしたい。

(田丸 周FEC常任参与・油研工業(株)常勤監査役・記)

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