河村たかし名古屋市長を来賓に招き第2回FEC外交等国政問題懇談会(略称・国政懇)を開催
2010年04月10日更新
名古屋の庶民革命等についてをテーマに講演
とき
平成22年(2010)4月10日(木)12時〜14時
ところ
帝国ホテル東京「北京」
概要
平成22年4月10日(土)に河村たかし名古屋市長を講師に招き第2回外交等国政問題懇談会を開催
内容
民間外交推進協会(FEC)は4月10日、河村たかし名古屋市長を来賓として招き、第2回外交等国政問題懇談会(呼称・国政懇)を帝国ホテル東京で開催した。 第2回国政懇には、内藤明人リンナイ(株)取締役会長、今田潔信越化学工業(株)顧問、ハンス・ユーゲン・マルクス学校法人南山学園理事長、本間克巳(株)ジーアンドエイチ代表取締役等FEC役員、法人会員多数が出席した。
開会に際して、FEC評議員会副議長で、国政懇の座長の笹森清元連合会長より、「河村名古屋市長は衆議院議員時代から議員報酬削減を訴え、名古屋市長として市民税減税を決定されたことに深く敬意を表すとともに、また国政の場で頑張ってもらいたい。本来大臣を招く会合であるが、初めて減税を実現された河村市長の考えを聞いて勉強したい」と座長挨拶。
河村名古屋市長は、「名古屋の庶民革命等について」をテーマに、政治家の役割、減税先行の意義等、自説を率直に述べ、講話後出席者と昼食を共にして活発な質疑応答・意見交換が行われた。
外国では政治はボランティアであるが、日本の政治は政党の団体戦で、議員が職業になっている。政治が稼業となると長く続けることが目的となり、競争を排除するようになる。政党は党員から候補者を選ぶ議員の「集団的自衛権」。一番強いもの(財務省)を味方にするようになる。今の政治体制は八百長で候補者排除システムだ。
6〜7年前に米国と韓国に行き、多くの政治家に会った。向こうの政治家は、ボランティアだから魅力がある。韓国のソウル市議会議長に200万円の低年収について聞くと、「僕は名誉のためにやっています」と答えていた。長くやらず2〜3年で辞める。議員をボランティアにすると、韓国のように早く辞め、どんどん入れ変わっていく。日本のように政治で金をもらえる仕組みを変えない限り、新しい人が出てこられない。自民党は世襲ばかり、民主党も世襲と労働組合の指定席だ。
名古屋市議の年収は24百万円と高給で、議員になると以前の仕事を辞めてしまう。議員75人の殆どが指定席だ。国の政権交代では何も変わらないが、名古屋では庶民革命を目指す。以前、自民党には約120億円の政党交付金が入り60億円の非課税の資金が残り派閥作りが横行した。税金で極楽となるモラルハザードだ。政党交付金が出たら企業献金は廃止すべきだ。党議拘束により個人が意見表明できない仕組みが日本の政治を堕落させた。議員はボランティアではなく職業としてやっているから、理念では動かない。賛成か反対も自分の意思で決められない。総理になって実現させたかったことを、今名古屋市でやらせてもらっている。
日本の財政危機も嘘だ。国中増税ムードで、減税を訴えているのは自分くらい。減税すれば議員数を削減できる。行政は役人の仕事だ。議会の起源は英国だが、戦争や重税賦課等の国王の不当な権力行使を制限することが出発点だった。リチャード・クーは現状をバランスシート不況と的確に診断している。企業がバランスシート改善のために銀行借入を返済し、銀行は国債、市債を購入している。国債、市債の原資は貯蓄であり借金ではない。増税の必要はない。人口が増加すれば税収も増加するが、市職員の増加は必要ない。減税しない限り金余りとなる。天下り先確保のために減税をしない。減税なき事業仕分けも、他費目に回るだけで省庁間の付け替えをしない八百長だ。
減税とは、公的資金配分の民営化だ。つまり、市民の金を借りて投資することだが、市民からは公共施設の建設依頼がなくなるため、議員は嫌がる。10%の名古屋市民税減税は市議会の反対で1年限定となった。市長、知事は提案権をもつが議決権はなく大統領と違う。市議会と抗争中だがメディアは議会にやさしい。名古屋市民に議会解散(リコール)の署名を呼びかけたい。有権者の2割の署名が集まれば可能となる。住民が立ち上がる日本で初めての闘いだ。
内藤明人リンナイ(株)取締役会長:英国人は日本の民主主義は堅固と見る。政権交代しても、国民がぶれないのは、天皇制や神道と仏教の共存などによるとの見方だが。
河村市長:政治が職業化したのは太平洋戦争以降だ。戦前はボランティアだったが、戦後はいなくなってしまった。本来は、議員をボランティア制にしなければならなかったが変えられなかった。
田丸周FEC常任参与:米国のGDPに占める個人消費比率は高く、景気対策としての減税効果が大きいが、日本の消費比率は低く減税よりも公共投資が有効だ。戦後の土建国家構造を支える既得権益者も多く、市長のいう減税論には焦点が当たらない。是非河村理論を国政レベルで広く展開していただきたい。
水沼正剛電源開発(株)取締役:政治家の職業化問題について、世襲構造の中でも、自立的な政治家を目指すために若い人にどういうインセンティブを与えていくことができるか、名案はないか。
河村市長:名古屋の地域委員会のボランティア選挙で19歳、25歳の若者が当選した。徐々に変化すると思う。
本間克巳(株)ジーアンドエイチ代表取締役:インターネットの投票は考えているか。若者の中にオピニオン・リーダーを作る社会が必要だ。
河村市長:バックアップの必要があるため、反対だ。インターネットをツールとして使うのは良いが、電子投票は考えられない。納税者番号制も反対。所得捕捉は無理。米国の社会保障番号制は住民票がないからだ。若さだけで議員は無理。20年前のリクルート事件後の政治改革から、政党交付金が生まれたが政治共産主義だ。税金で議員が身分保障される状況を変えないといけない。税金では議員をやめない。議員のボランティア化、寄付金にすればスキャンダルで辞める。新潟、岡山、静岡、浜松、埼玉、千葉の各市長は自分の考えに賛同している。減税により、議員の職業化の問題が浮上し、定数削減や議員のボランティア化から始まると思う。名古屋市から考え方を変えていこう。
(田丸周FEC常任参与・油研工業(株)常勤監査役・記)