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カザフスタンのサウダバエフ国務長官兼外務大臣を招き第135回FEC国際問題懇談会を開催

カザフスタン 国際問題懇談会

2010年03月25日更新

日本〜カザフスタン関係の現状と今後の展望をテーマに講演

講演するサウダバエフ国務長官兼外務大臣

講演するサウダバエフ国務長官兼外務大臣

第135回FEC国際問題懇談会の開催風景

第135回FEC国際問題懇談会の開催風景

とき

平成22年(2010)3月25日(木)10時〜11時30分

ところ

帝国ホテル東京「孔雀東の間」

概要

平成22年3月25日カザフスタンのサウダバエフ外務大臣を招き第135回FEC国際問題懇談会を開催した。

内容

民間外交推進協会(FEC)は3月25日、帝国ホテル東京にカナット・サウダバエフ・カザフスタン国務長官兼外務大臣を来賓として招き、第135回FEC国際問題懇談会(呼称・国問懇)を開催した。

開会に際して、FEC評議員会副議長の笹森清元連合会長が、主催者挨拶の冒頭「埴岡和正前理事長が一昨日急逝された、この場をお借りして民間外交の推進に多大なる貢献をされた故人の遺徳を偲び黙祷をしたい」と述べ全員が起立し黙祷した。その後、「必ずしも資源に恵まれていない我が国と、資源の豊富なカザフスタンの間での協力が進むことは相互にとって有益である」と挨拶。続いて、カマルディノフ駐日カザフスタン大使が「日カザフスタン関係の現状」を説明した。その後、サウダバエフ国務長官兼外相が講演に立ち「カザフスタンと日本の戦略的パートナーシップは輝かしい展望を持ち、真の友情と相互理解の精神のもとで発展していくだろう。」とナザルバーエフ大統領の訪日時の発言を紹介し、カザフスタンと日本の貿易関係について説明。両国間で租税条約を発効し、投資協定も近い将来締結する旨を発表。日本とカザフスタンは双方ともに核兵器の被害を受けた国。核廃絶、核兵器不拡散の分野で協力を進めている。現在カザフスタンはOSCEの議長国を務めており、独立後間もない国を手助けする重要な役割を担っていることなどについて詳しく説明した。

終了後、出席の川口順子元外相、共同通信記者等からの質疑を受けた。講演会はロシア語、英語、日本語の同時通訳で進行された。

国問懇には、国務長官兼外相一行、駐日各国大使、川口順子元外相、小池百合子元環境相はじめ衆参両院議員、FEC役員・会員等300名超が出席した。

日・カザフスタン関係の今後等外交政策〜カナット・サウダバエフ・カザフスタン国務長官兼外相

 

皆様の前で、講演できることに感謝する。ナザルバーエフ・カザフスタン大統領は2008年6月に日本を公式訪問した際、「カザフスタンと日本の戦略的パートナーシップは輝かしい展望を持ち、真の友情と相互理解の精神のもとで発展していくだろう。」と述べた。私は、今回の訪日中、鳩山首相や江田参議院議長、岡田外務大臣、また直嶋経済産業大臣とも会談し、日本の新政権もまた、カザフスタンとの関係強化を目指していることを
確認した。

カザフスタンと日本の貿易関係は、2008年の経済危機直前までは10億ドルを越える規模まで発展していたが、両国のポテンシャルはこの規模よりもはるかに大きいものだ。長い間、世界経済を先導してきたのはアメリカとヨーロッパだったが、経済危機の後、世界経済の原動力となったのはアジア諸国だ。我が国も危機を克服し、前年比1.2%の経済成長を遂げた。もちろん、1.2%というものは大きな経済成長率ではないが、この危機の中でまずプラスの成長を遂げたことを誇りに思う。
現在、カザフスタンは外国投資誘致に力を注いでいる。新しいテクノロジーを我が国に導入する企業やプロジェクトに対して、大きな優遇措置を取っている。日本は技術の最も進んだ国であり、投資活動も活発だが、カザフスタンにおける投資国順位は13番目に過ぎない。今後、両国間の経済協力関係を推進していくための環境整備が必要だ。

今年1月に両国間で租税条約が発効された。また、投資協定の締結も近い将来予定されている。両国の経済協力推進を目的としたグループもある。両国の経済関係は、大いなる将来があると確信している。準備段階を短い期間で終えて、一刻も早く本格的な行動に移りたい。訪日中の会合で私は絶えず、次のように述べてきた。「日本の人々は準備に時間が掛かるけれども、スタートを切れば非常に迅速に事を進める」と。今年初め、ロシアとベラルーシ、カザフスタンの完全同盟が結ばれた。この3国の人口を合わせると1億8千万人になる。日本とカザフスタンの企業が力を合わせて製品を製造し、この広大な完全同盟の空間で販売していくことが可能になる。最新のテクノロジー分野も今後互いに協力して獲得していくことができる。また、カザフスタンでは農業セクターが大変重要な位置を占めている。小麦の輸出量は世界第5位。農作物の加工やインフラ整備も重視している。

日本とカザフスタンは双方ともに核兵器の被害を受けた国である。日本は1945年8月に広島、長崎の悲劇を経験し、私達は1945年から1981年まで、核実験が我が国の領土の中で行われ150万人ものカザフスタン人が被害を受けた。私達は心から核廃絶を望み、核兵器不拡散の分野で活発に活動をしている。核の問題は人類の大きな問題だ。カザフスタンはソビエト崩壊後に引き継いだ核ミサイル兵器を放棄した。この決断はナザルバーエフ大統領個人の決断であり、そのことによって野党勢力から大きな批判を受けたが、これは正しい賢明な国としての選択であった。我が国では、現在民営核燃料バンクを国内に造る計画がある。核燃料バンクのようなインフラ整備が、核燃料を安全に運営していく力になるからだ。核問題では、カザフスタンと日本がユーラシア大陸における安定と平和を確立していく力を持っている。

1992年国連総会の場で、ナザルバーエフ大統領はOSCE(欧州安全保障機構)と同様にアジアにもCICA(アジア相互協力信頼醸成会議)を設立することを提言した。それから18年が経ち、アジアの20カ国がCICAに参加している。日本は現在オブザーバーだが、是非正式なメンバーになっていただきたい。

今年カザフスタンはOSCEの議長国を務めており、独立後間もない国を手助けする重要な役割を担っている。ナザルバーエフ大統領は「私達はOSCEの権威ある活動に尊敬の念を抱きながら、欧州における経済、環境、人道の3つの分野の安全保障のため、議長国としての役割を果たす」という考えを示した。残念なことに今世界の状況は必ずしも良い方向に向かっておらず、様々な脅威が増大している。そういった中で国際的な連携を深めていく必要がある。

そのために、国際的な寛容を進めていくことも重要だ。宗教と民族の融和という点において、カザフスタン国内には130の民族が暮らし、46の宗教があることを考えると、私達はこの問題でもリーダーシップを取っていかなくてはならない。

日本政府が立ち上げた「『中央アジア+日本』対話」という枠組みは大変将来性のあるものと考えている。この枠組みの下、今年は外相会議が開催される。中央アジアの個々の国々、そして中央アジアという地域全体にとって大変プラスになる。

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