ティンレイ・ブータン王国首相を招き第126回FEC国際問題懇談会・昼食会を開催
2009年09月01日更新
来賓の藤井裕久衆議院議員の出席を得て民主党の大勝を祝う場ともなった
とき
平成21年(2009)9月1日(火) 12時〜 13時45分
ところ
帝国ホテル東京「扇の間」
概要
ティンレイ・ブータン王国首相を招き第126回FEC国際問題懇談会・昼食会を開催。
内容
間外交推進協会(FEC)は9月1日、ブータン王国のジグミ・ティンレイ首相を帝国ホテル東京に招き、第126回FEC国際問題懇談会・歓迎午餐会を開催した。FECはインドとは日印文化経済委員会の活動を通じて、20年来関係強化に成果を挙げているが、インドのみならず南アジアの国々との友好関係を深める一環として今般、ブータン王国のジグミ・ティンレイ首相を招きFEC国際問題懇談会を開催した。首相は大使として欧州に在勤、その後は外相、内相、文化相を歴任し、昨年首相に就任し、3度目の来日。
インドと中国に挟まれたブータン王国は、人口70万人の農業国。親日国で一昨年に初めて日本の円借款(約36億円)が供与され地方電化計画が実施された。前国王は国民総幸福量(GNH)の概念により国民の幸福に資する開発の重要性を提唱するなど、近代化の速度を抑えながら、独自の立場や伝統を守る政治に世界的な注目が集まっている。当日は、前々日の総選挙で大勝した民主党の藤井裕久衆議院議員・元蔵相も来賓として出席。ティンレイ首相及びFEC側出席者一同から民主党政権の門出に暖かい祝福と激励がよせられた。
開会に際して埴岡和正FEC理事長が、「民主党政権に不安をもつ国民もいるが、本日来賓としてお招きした藤井衆議院議員は財政通の大ベテラン政治家で見識、人物も優れた方で、有力視されている蔵相等の主要閣僚ポストに就任されれば国民も新政権に安堵しよう。ティンレイ首相は日本の現代史に残る平成21年8月30日に日本に滞在されたことは大変に記念すべき機会となった。本日はブータンの現状を理解し、日本とブータンの経済交流と両国関係促進の一助になればと願っている」と来賓紹介を兼ねて挨拶。続いて内藤明人FEC副会長(リンナイ(株)取締役会長)より、「貴国は豊かな農業国で親日的。FECは隣国の中国、インドや東アジア各国との交流を深めており、ブータンとの関係発展も期待している。本日はベテラン外交官・政治家のティンレイ首相と率直な意見交換をしたい」と主催者挨拶。懇談会には、ブータン側は内閣官房長官、商工会議所会頭、外務省二国間局長、首相秘書官、首相補佐官(ペマ・ギャルポ桐蔭横浜大学大学院教授)、在デリー大使館三等書記官(首相令嬢)らが同席。FEC側は松澤建青山学院理事長、笹森清労働者福祉中央協議会会長、山田中正元駐インド兼ブータン大使、野村吉三郎全日本空輸(株)最高顧問、岡崎真雄ニッセイ同和損害保険(株)名誉会長、小林哲也(株)帝国ホテル代表取締役社長ら、FEC役員、女性会員が多数出席した。昼食会では、首相一行を歓迎する乾杯のあと民主党政権の門出と藤井議員の再選に対し乾杯が行われ、藤井議員の挨拶に続きティンレイ首相が、両国関係、日本への期待等を中心に概要下記の挨拶を兼ねてのスピーチを行い、その後出席者と日本料理の昼食を共にして和やかに意見交換を行った。
ティンレイ首相の来日を心から歓迎し、FECとブータンとの交流深化に敬意を表する。一昨日歴史的な政権交代となったが、政策の継続性が重要で、前政権の政策の半分以上は残ろう。特に外交は基本。鳩山代表はアジアとの友好関係を特に強調しており、ブータンとの文化・経済交流の一層の拡大を確信する。
国王、国民は日本の暖かい好意に感謝し、日本を尊敬している。当国は国王からの贈り物として1年4ヶ月前に新憲法を制定した世界で最も若い民主国家。日本の経済協力でブータンは発展した。両国関係は極めて良好で日本はブータンの発展のための最重要パートナー。経験豊富な藤井先生の助言もいただきたい。「外交の継続、アジア重視」と伺い大変嬉しい。日本には真のアジアのリーダーになってほしい。日本は偉大な国で、国家の成長の模範を示した。昨年来の世界的な金融経済危機はマクロ経済基盤を動揺させた。経済社会の進歩と繁栄の再定義が必要。日本国民は正しい選択をされた。鳩山首相も国民も間違うことはなかろう。藤井先生の再選を祝し、新政権の成功と日本の皆様の繁栄と発展を祈念する。両国関係発展におけるFECの尽力にも感謝し今後ともFECを通じて日本との関係強化を目指したい。
埴岡和正FEC理事長:中国、ロシア、インドの大国に挟まれ、ご苦労も多かろう。日本と国交はあるが東京には大使館はなく、駐インド大使が駐日大使を兼務。今回の訪日の日程調整も、日本国籍のチベット人であるペマ・ギャルポ教授が首相補佐官の資格で担当された(FEC側出席者を紹介、懇談に入る)。
山田中正元駐インド兼ブータン大使:美しい国、魅力的な人々など家族ともどもブータンの思い出は多い。日本は合弁事業、教育、科学技術分野で協力可能だ。
笹森清労働者福祉中央協議会会長・前連合会長:政治、経済交流に加えて労働者の交流が重要で、連合は自己資金とODA予算によりアジアとの交流を進めている。ブータンからも定期的に労働者を招聘し教育指導したい。日本の大転換の日に首相にお会いできたことを心から喜びたい。
野村吉三郎全日本空輸(株)最高顧問・前会長:観光と人の往来は平和へのパスポートと思う。皆様の民族衣装は昔の日本を思い出し嬉しい。貴国への観光促進に努めたい。
新町敏行(株)日本航空常任顧問・前会長:航空会社は人・物・文化を運ぶ。乗り入れ可能となる環境を強く望む。世界で観光は基幹産業。首相の指導下で貴国の観光業が発展することを期待し、お役に立ちたい。
渡邊五郎森ビル(株)特別顧問:首相は欧米での経験から何を国民に伝えたいと思われるか。
ティンレイ首相:貴重な意見に感謝する。観光は量より質を重視し促進したい。西欧から学びたいことは、民主主義、科学、医療など。ブータンの基本哲学は、国民総幸福量(GNH)の概念だ。物質的豊かさは重要だが、消費者主義から距離をおくべきだ。家族・近隣との間で競り合うのは行き過ぎで、若者に配慮し高齢者は尊敬されるべきだ。過度の消費者主義は環境破壊につながる。12月の気候変動会議は京都議定書より内容のあるものと期待している。人間関係、社会、環境と共生する「豊かさ」の意味を考えるべきだ。鳩山代表の言う「友愛」はブータンが追求するものと同じ概念だ。日本は豊かな伝統、歴史、文化をもち、国民は勤勉で、革新的、才能豊か。新しい道を示せば国民に繁栄と精神的安定が導かれよう。日本のリーダーシップに世界は期待しており、新政権の成功を祈念する。国交25周年となる2011年に国王の訪日を実現させたい。
埴岡和正FEC理事長:「物が栄えて心が滅んではならぬ」「年長者を大切にする社会」等格調高いスピーチに感銘を受けた。FECは長幼の序を実践しているが、日本の発展の源泉だ。「日本の良き伝統と文化を世界にアピール」との提言は、「新しい価値観の創造」の提言となろう。「国が滅びるのは悪ではなく愚かによって」という名言があるが、首相の経験、見識からブータンのいっそうの発展を確信した(この後、内藤FEC副会長とティンレイ首相の間で記念品が交換され、首相から藤井議員にもお祝いの品が贈られた)。
ティンレイ首相は閉会を前にして今日の場は大変に心に響く機会となったので再度謝辞を含めて挨拶したいと断り自身の考え方を含めたスピーチを行った。出席者はその格調高き内容に感銘を受けた。
(田丸 周FEC常任参与・油研工業(株)常勤監査役・記)