ニュージーランドのマッカリー外務大臣を招き、第119回FEC国際問題懇談会・朝食会を開催
2009年05月21日更新
とき
平成21年(2009)5月21日(木) 8時30分〜9時45分
ところ
ホテルオークラ東京
概要
ニュージーランドのマッカリー外務大臣を招き、第119回国際問題懇談会・朝食会を開催。
内容
FEC民間外交推進協会(埴岡和正理事長)は5月21日、ニュージーランド(NZ)のマッカリー外務大臣を招き、第119回国際問題懇談会・朝食会をホテルオークラ東京で開催した。NZでは昨年11月の総選挙の結果、9年ぶりに国民党政権が誕生し、今般キー新政権のマッカリー外務大臣の初来日の機会に、同相を招きFEC役員等との朝食懇談会を開催した。
開会に際して埴岡理事長は、「マッカリー外相は練達の政治家。9年ぶりの政権奪取で御存念も多くあろう。日本も政治の激動期。本日は両国関係強化の場であり率直な意見交換をお願いしたい」と挨拶。内藤明人FEC副会長・リンナイ(株)取締役会長より「国民党の政権奪取に祝意を表する。マッカリー外相は閣僚経験豊富なベテラン政治家。日本とNZ関係の一層の強化がアジア・太平洋地域の平和と繁栄に寄与する。本席での率直な意見交換を期待したい」と主催者挨拶があり、続いてマッカリー外相より、新政権の経済運営、両国交流の現状と今後の計画等が述べられ、その後出席者と一問一答の朝食懇談会が和やかに行われた。
自分は新政権で外相、スポーツ相、ラグビー担当と、ベスト3のポストに就任した。NZは「ラグビー・ワールド・カップ2011」を主催する。多くの日本人の来訪を期待したい。昨年11月以降、NZ経済は以前から抱える構造問題に世界的金融経済危機の影響が加わり、急速に景気が減速した。殆どの銀行は豪資本で健全な活動で銀行制度も健全だ。大きな金融危機にならなかったが、貿易小国故経済への打撃は大きく、企業収益は豪州を38%下回った。政府は景気後退と構造問題に対処するため、減税、税制改革、生産性向上策、規制緩和、インフラ投資等で経済活性化を図っている。
貿易環境整備のため自由貿易協定(FTA)締結を推進している。シンガポール、タイのほか豪州と共同で東南アジア諸国連合(ASEAN)とも締結した。先進国で最初に中国とも締結した。インド、韓国とは交渉を開始した。米オバマ政権とも太平洋パートナーシップを継続し、EUとの経済連携協定(EPA)を進めている。
日本とはEPA交渉を進めている。ラグビーの交流強化も計画しており、日本が開催を希望する「ラグビー・ワールド・カップ2015」を支援する。6月のNZ大使館とFEC共催の「食の安全シンポジウム」や、10月のキー首相訪日時は閣僚や経済人が同行するなど、今年は両国の友好関係強化の野心的活動を推進する。
内藤明人FEC副会長・リンナイ取締役会長:英国企業から買収した当社NZ子会社の操業は順調。高付加価値の電子式ガス器具を製造販売し、豪州、米国にも輸出している。
埴岡和正FEC理事長:中国は経済力とともに海軍を中心に軍事力を強化している。豪州は国防白書で軍備増強を発表したが、NZは中国の脅威をどう見ているか。
マッカリー外相:NZは安保分野で豪州との関係強化を進めており、改定中の国防白書も豪州の政策が反映されよう。包括的なEPAによりアジア・太平洋地域で均衡のとれた安全保障体制が期待される。日本からは安保政策が提示されず進展はむずかしい。
埴岡和正FEC理事長:安保問題も是非両国政府間で協議していただきたい。6月にFECがケネディ駐日大使と共同開催する「食の安全シンポジウム」は、NZ産品が安定的に日本へ供給される環境作りが目的。10月のキー首相来日時には、FEC経済フォーラムで幅広い意見交換を計画している。来年2月にはFEC調査団を貴国へ派遣したい。
田丸周リケン常勤監査役:中国とのFTA締結が豪州より先行できた理由は何か。多くの日本企業が中国製模倣品の被害に直面している。知的財産権条項の厳格運用による中国の順法意識の向上を期待する。
マッカリー外相:中国にとってNZは小国故経済的脅威が小。包括的且つ高度のFTA締結を国際的にアピールできた。NZでは安価な中国品の流入が懸念されたが市場開放に踏み切った。
渡邊五郎森ビル特別顧問:両国で観光が安定的に促進される施策作りを期待する。
マッカリー外相:同感。NZの観光の潜在力は大きい。キー首相は観光相を兼務しており観光促進は重点政策だ。来日時に具体的な話しもあろう。彼は定期的に日本へ家族旅行している。
大戸武元ニチレイ相談役:当社はアジ、バーナ貝、冷凍野菜をNZから輸入している。イメージが良く価格競争力が高い。時折農産品の異物混入が問題になる。日本人も過敏すぎるので、NZ側から世界の標準を説明し説得してほしい。NZが日本の調査捕鯨に反対するのは理解できない。何故鯨と牛は違うのか、科学的根拠の議論をすべきだ。
マッカリー外相:日本の消費者が高品質を求めるのは理解している。鯨の問題は価値感の違いか。過激な反対活動の報道は遺憾である旨、中曽根外相に何度も伝えた。貿易、観光等相互利益になる分野の話しを進めたい。
埴岡和正FEC理事長:ケネディ駐日NZ大使は人柄も良く日本人の心に深く入っている。丁寧且つ誠意ある職務遂行で、NZのイメージ向上に貢献されている。マッカリー大臣も政治家、スポーツ人として魅力あり、今後の手腕発揮を確信した。
(田丸周FEC常任参与・(株)リケン常勤監査役・記)