ポルスキ駐日アルゼンチン大使主催の昼食会に埴岡理事長はじめFEC役員が招かれる。両国経済交流促進に向けて活発な意見交換を行う。
2009年02月05日更新
埴岡理事長は、対中南米投資の最大のリスクは為替とインフレ問題と強調。大使は今後ともFECの協力を得て両国関係の強化をはかりたいとあいさつ。
とき
平成21年(2009)2月5日(木) 12時〜14時
ところ
駐日アルゼンチン大使公邸
概要
ポルスキ駐日アルゼンチン大使主催の昼食会にFEC役員が招かれる。
内容
午餐会・経済問題懇談会
ポルスキ駐日アルゼンチン大使は2月5日、FEC役員らを大使公邸に招き昼食懇談会を開催した。FECは昨年11月にポルスキ大使を招き国際問題懇談会を開催、経済交流をテーマに懇談したが、ポルスキ大使より大使主催の昼食会の提案があり今般催された。
FECからは、埴岡和正理事長、松澤建青山学院理事長、松尾邦彦国際石油開発帝石会長、新町敏行日本航空常任顧問、渡邊五郎森ビル特別顧問、木島輝夫元駐アルゼンチン大使らが出席、アルゼンチン大使館からは、オセラ公使、イダルゴ二等書記官が同席した。昼食会前の懇談ではポルスキ大使より、日本の失業問題や経済対策、埴岡理事長より為替・インフレ問題と日本企業の中南米投資の難しさ等が話題となった。昼食会ではアルゼンチン・ワインで乾杯のあと、アルゼンチン料理を楽しみながら、今後の両国関係等について長時間に亘り親しく懇談した。
埴岡和正FEC理事長:昼食会へのお招きに感謝し、大使の活発な経済文化交流へのご尽力に敬意を表したい。前回に続き率直な意見交換により両国関係の更なる発展を祈念し乾杯したい。
ポルスキ大使:ワインは6年前から戦略的に対日輸出を拡大。チリ・ワインとは異なりレストラン、ホテル向け高値ワインが中心だ。欧米から品種改良技術を学んだ。経済は好調で、過去5年間平均8.5%成長を達成し双子の黒字を継続中。金融危機の影響は少なく、輸出先の多様化、外貨準備の厚みが強み。為替も10%下落にとどまっている。
松澤建青山学院理事長:国際交流には人材育成と学術交流が欠かせない。是非進展させたい。
ポルスキ大使:両国交流は111年目だ。タンゴ、サッカー、牛肉、ワイン、映画等の愛好家多い。日本の「ボルヘスの会」が文化促進に貢献。エネルギー、インフラ、バイオ、食品等の貿易、投資機会がある。
吉川惠章三菱商事執行役員業務部長:大西洋に面する貴国はロジ上のハンディがある。太平洋側への物流ルートが開通すればアジア貿易が増加しよう。
ポルスキ大使:11月にチリと両大洋を結ぶ道路PJを締結した。対日輸出の大半は食品。高級アイスクリームの輸出も検討中。
オセラ公使:再生利用可能分野の技術が重要課題。パタゴニアの風力発電共同事業は日本の排出権獲得に貢献した。法制上国内・外資の差別はなく利益の本国送金も自由だ。
松尾邦彦国際石油開発帝石会長:資源には政治が絡む。地域統合と国の資源ナショナリズムの動きをどう見るか悩ましい。
ポルスキ大使:地域経済統合で当国は他国に介入や干渉をしない。調整役・仲介役として地域内の友好関係を維持する。
渡邊五郎森ビル特別顧問:アルゼンチン留学と3度の米国駐在の経験から、南米は為替予測がむずかしく金持ちの投資先だ。関係する日本企業には投資を勧めなかった。日本では債務危機の悪印象が強い。2国間で投資保護の仕組みが欲しい。国、私学の教育交流は重要だ。
ポルスキ大使:仕組みを作っても信頼構築や投資の成功には時間がかかる。
オセラ公使:01年に予知不能の危機で多くを失った。今回も同様だ。長期的視点が重要。当時欧米企業は撤収し後に後悔したが、トヨタ、NECは撤退しなかった。
田丸 周リケン常勤監査役:予知不能だったのはフォークランド敗戦後のハイパーインフレだ。92年からのドル・ペッグ制は有効であったが、フロート移行がブラジルに遅れ、01年の為替危機・デフォルトを招いた。貴国は20世紀前半、日本は後半に富裕国となった。両国とも切迫感が薄く経済政策の機動性に欠ける。
ポルスキ大使:中銀は堅固で実際的だが、合理的判断には的確な情報入手が欠かせない。大使館の使命でもあり、関連情報の伝達に努めたい。話しはつきないが、本日は広範且つ率直な意見交換で大変有益であった。
[FEC役員等]
埴岡 和正 民間外交推進協会(FEC)理事長
松澤 建 学校法人青山学院理事長
松尾 邦彦 国際石油開発帝石(株)代表取締役会長
新町 敏行 (株)日本航空常任顧問・前会長
渡邊 五郎 森ビル(株)特別顧問、元三井化学(株)会長
木島 輝夫 民間外交推進協会(FEC)理事、元駐アルゼンチン大使
宮脇 宗嗣 民間外交推進協会(FEC)理事、スカラキャピタルマネジメント(株)取締役会長
吉川 惠章 三菱商事(株)執行役員業務部長
田丸 周 (株)リケン常勤監査役
前田 貴俊 民間外交推進協会(FEC)企画事業部次長
[在日アルゼンチン大使館]
ダニエル・ポルスキ駐日アルゼンチン共和国大使
ホルヘ・オセラ駐日アルゼンチン共和国公使
ラミロ・イダルゴ在日アルゼンチン共和国大使館二等書記官(通商担当)
(田丸周FEC常任参与・(株)リケン常勤監査役・記)