ングバネ駐日南アフリカ共和国大使を招き第91回FEC国際問題懇談会を開催
2008年04月08日更新
民間外交推進協会(略称:FEC)=民間レベルでの日本と南アフリカとの交流をより一層進める
とき
平成20年(2008)4月8日(火) 12時〜14時
ところ
ホテルオークラ東京・本館「山里特別室」
概要
ングバネ南アフリカ共和国大使を招き第92回国際問題懇談会を開催
内容
南アフリカのリーダーで資源高騰もあってめざましい経済発展を続ける南アフリカ共和国と日本との民間レベルの関係強化を目指して
民間外交推進協会(理事長・斉藤邦彦元駐米大使)は4月8日昼、ングバネ駐日南アフリカ共和国大使を招き、第91回FEC国際問題懇談会(略称:国問懇)をホテルオークラ東京で開催した。今次国問懇には、FEC役員、法人会員、個人会員ら多数が出席した。
開会に際して埴岡副理事長より、「15年前日本が開催した第1回アフリカ開発会議(TICAD〜)にアパルトヘイト下の南アフリカは招聘されなかったが、FECが浜松で1泊2日で開催したTICAD支援会議に在日南ア大使館の参事官を招待し大変感謝された」と、南アとFECの交流の歴史が紹介された。続いて、ングバネ南アフリカ共和国大使より南部アフリカ地域における南アフリカの役割、課題などの基調講話があり、FEC副会長の野村吉三郎全日本空輸(株)最高顧問・前会長の発声で乾杯の後、出席者と一問一答の昼食懇談会が和やかに行われた。
日本がアジアの経済発展を先導したように、南アは南部アフリカ開発共同体(SADC)の開発に中心的役割を果たすべく努力している。日本の外務省は、「アフリカには希望と夢とチャンスがある」といっている。多くの人口、豊富な資源を抱え、資源高も追い風で成長の可能性が大きい。日本が冷戦終焉後の93年に国連等と共催でTICADを創設したことに感謝している。5月に横浜で開催されるTICAD〜の主要テーマは、アフリカ地域のオーナーシップ確立、貿易・投資促進、インフラ整備、農業強化、人間の安全保障、民主化支援など。アフリカは環境・気候変動に脆弱で、これらも重要課題だ。南アの外交政策はSADCを最優先に、紛争の解決、経済開発の環境整備、地域協力を重視している。南アは大統領が出席する。
SADCは99年に創設以来、地域開発、貧困削減、関税・非関税障壁の削減、紛争処理、砂糖協定締結など加盟14ヶ国の発展に貢献してきた。SADCの市場規模は、人口2.1億人、GDP2千億ドル。FTA効果で域内貿易比率は25%(03年)から今年は更に上昇しよう。南アのSADC向け輸出は年19%増加し貿易は黒字。また南アは最大の投資国で民間企業も成長している。国営企業もインフラ整備面で重要。ESCOM(国営電力)は、この地域の重要な電力供給源だ。南ア航空は地域内外へ共同運航している。日本企業がこの地域へ投資する際、南アが良いパートナーとなろう。
野村:全日空は南ア航空と共同運航で協力関係にある。日本のTICADに対して中国もアフリカ諸国との関係を強化している。日本の観光客の南ア熱は高いが治安が不安。
大使:日本の支援は54年に開始され、深く広範だが、中国は最近支援国になったばかり。資源確保の短期目的の性格が強い。中国の支援は「良い統治」に無頓着で心配だ。日本から中国に支援の仕方を教示して欲しい。日本のODA等支援がアフリカにとっては大変有難いことと思う。近隣からの不法入国者が治安悪化の背景。日本の警察の指導も受け取締を強化している。
埴岡:昨年にFEC副会長の内藤明人リンナイ会長を団長とする調査団が南アを訪問したが、内藤団長は「資源高に加え天然ガスも発見され経済は活況。日本企業の役割の大きさを痛感した」と述べられた。
三好日本製紙グループ本社会長:日本製紙は南アで、植林・チップ輸入の事業を20年以上続けている。6月に南アで開かれる紙パ業界の国際会議に自分も参加する。
本間ジーアンドエイチ社長:アジア各国に狂犬病予防支援を実施しているが、アフリカは今後考えたい。
茂木キッコーマン執行役員:醤油を使ったアフリカ料理と日本料理のフュージョン料理を創作したい。
古賀新開会長:アフリカ各国で地上局を設置した。世話になった現地の方々に御礼したい。
米沢米澤化学社長:南ア政府内の白人・黒人比率は。
大使:白人の大臣は5人。地方では9人の県知事が白人だ。警察、軍隊にも白人は多い。政府と取引する企業には黒人雇用比率遵守義務がある。皆に機会平等となり人種差別問題はない。
田丸FEC参与:日産車は、エジプト製が南ア製に勝ると聞いたが、熟練労働者教育は順調か。
大使:過去、黒人の9割は召使で教育機会がなかった。アパルトヘイト撤廃後13年と教育訓練の期間が不十分。トヨタ(年20万台生産)は独自の社内教育で成功し、タイ・トヨタの水準まで引き上げた。JICAは南アの教師を日本で訓練中だ。日本からは大企業だけでなく、教員、医師の来訪を希望する。
埴岡:「国造りは人づくり」が南アの課題か。大使帰国(9月)前に是非再度意見交換を。
大使:植林・チップ輸入事業はまさに個人への支援で感謝している。次回は当大使館でFEC役員の皆様を昼食会にぜひ招待したい。
(田丸周FEC常任参与・(株)リケン常勤監査役・記)