高レベルの’対印投資’を熱望
2006年01月01日更新
とき
2006年01月01日(日)
概要
マニラル・トリパティー駐日インド大使の2006年新春あいさつ
内容
マニラル・トリパティー駐日インド大使
FECニュース読者の皆様に心からの新年のごあいさつを述べさせていただき、この機会に日印関係についての考え方をお伝えできることは、大変喜ばしいことです。
まず始めに、日印両国は、諸価値を共有し、冷戦後のグローバル化の時代において利益が近接しており、経済が補完関係にあることから、自然なパートナーであることを申し上げます。
しかし、強いパートナーシップから得られる利益が十分に理解されていなかったことが関係強化を抑制してきました。このたび理解の不足についてお話しする有益な機会をいただき感謝します。
日本とインドは何世紀にもわたる知り合いでした。釈尊から受け継いだ遺産は不朽の絆です。両国の文化は、歴史を通じて絶えず交流し、相互に高めあいました。両国関係は、幸いなことに、歴史的あるいは領土的その他の紛争とは無縁でした。
両国の友情は、近年、民主主義、人権と自由、自由市場経済の諸価値を共有することでより深まりました。
このように、友好関係の基盤は堅固です。しかし両国のつながりは十全には発展していません。多くの日本国民にとって、インドは心理的に疎遠で遠い国だとの印象がありました。
今日、私たちはこの印象とは違う時代に住んでいます。冷戦終結とグローバル化の進展は、国際社会の様相を変えました。新しい地域的・国際的環境においては、両国関係を自らの利益に新たに向け直すことが必要です。両国関係を今日的に方向づける上で、パートナーシップの経済的内容に特に注意を払いたいと思います。わが国は、日本からのより高いレベルの投資を特に熱望しています。すでに、スズキ、ホンダ、コルカタの三菱化学、バンガロールのトヨタなど、成功した日本の対印投資が数多くあります。
わが国は、これらのサクセスストーリーが何度も繰り返され得ると信じています。日本の対印投資は、とりわけ知識集約的分野を含めてより高いレベルに向かう潜在力を持っています。また、鉄道、道路、空港、港湾等のインフラへの投資にも魅力的なチャンスがあります。
日本の産業と金融の指導者たちは、近年、インドへの関心を高めてきました。対印投資チャンスに関するセミナーは日本中で定期的に開催されています。インド経済シーンの発展は、日本や国際メディアの関心を強く引いています。これらは有望な展開です。
インドの資本市場への日本の資金の流れが高まり、インドに向けられた資金で大いに成功したものも多くあります。スズキ、トヨタ、ホンダ、三菱化学等の企業が、新規対印投資を発表しました。私たちは、機関投資家や個人投資家が対印投資に関心を持ち続けていただけるよう願っています。
インフラの不備や労働法、官僚的形式主義がしばしば引き合いに出され、日本のビジネスリーダーがインド進出に慎重であることの説明にされています。これらの懸念は我々も承知しています。インフラ改善に向けた意欲的プロジェクトが首相自らの監督のもと実施されています。労働法の問題には、わが国の民主的諸制度の枠組みのなかでコンセンサスに基礎を置く解決策に取り組んでいます。政府の役割を、過剰な規制から経済の促進へ変える努力もなされています。その為の方策も取られています。
日本のビジネスリーダーに求めたいのは、理想的条件全てが揃うまで待つことなく、インド市場に参入してほしいということです。こうした先進性が遠からず実りをもたらすことは、疑いありません。
小泉首相の昨年4月のインド訪問は大成功であり、大変満足しています。そこで採択された「日印グローバル・パートナーシップ強化のための8項目の取組」は、アジアの新時代における両国の協力を深め、拡大する道を開きました。
日本国民の間でインドとの関係の緊密化への関心が改めて高まっていることに、私たちは勇気づけられています。このことはわが国民の関心に一致します。それゆえ、多くの信頼と期待に満ちた未来を見ているのです。私たちは、日本の貿易、産業、金融のリーダーたちを、創造性と協力と企業家精神にあふれた活気ある旅に加わっていただくよう、心を込めてお招きしています。
この機会に、FECが日印および世界を結び付けてきた称賛すべき成果にお祝いを申し上げたいと思います。FECがこれからも成功することをお祈りし、新年のご挨拶を申し上げます。
(翻訳・FEC)