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第7次FECベトナム訪問団報告会・解団式を開催

ベトナム 日越文化経済委員会

2013年01月30日更新

実施報告をする中垣喜彦団長

実施報告をする中垣喜彦団長

報告会会場の様子

報告会会場の様子

とき

平成25年(2013)1月25日(金)16時〜18時

ところ

如水会館「松風の間」(報告会)/「けやきの間」(解団式)

内容

 FECは1月25日、如水会館にて昨年12月に派遣した第7次FECベトナム訪問団の報告会を開催した。報告会には訪問団々長の中垣喜彦電源開発(株)相談役・FEC日越文化経済委員会委員長、団特別顧問の山口範雄味の素(株)代表取締役会長ら団員11名、金杉憲治外務省アジア大洋州局参事官、下西潔外務省南東アジア第一課外務事務官、タ・ドク・ミン駐日ベトナム大使館商務官その他FEC役員・会員等合わせて42名が出席した。

 中垣団長は「中進国への移行期にあるベトナムの国造りに、どのような姿勢と手法で民間協力すべきかが訪問団の基本的視座であり、具体的成果と有効な手がかりを感じた」と述べ、詳細な報告を行った。中垣団長の報告後、日本の原発協力、農業近代化の具体策についての質疑応答が行われた。

 報告会終了後、団員は別室に移動し着席ビュッフェ形式の解団式が行われ、夕食をともに各団員より訪問先の印象やベトナムへの思い、各社のビジネス展開などが紹介され、和気あいあいで親睦を深めた。









[中垣団長報告]


 これまでの、日本の対ベトナム経済協力は、ドイモイ政策の趣旨を最も解したものと評価される。今後は、民間投資がベトナムの発展にどのように活かされるのかを考える必要がある。理事長からご紹介のあった提言書もこの視点から作成した。出発前の11月末のFEC日越経協でヴィン計画投資大臣は、「2020年までの工業化の課題は、自立的産業と地場産業を中心に経済産業の自立化を図ること」と述べた。新中期計画でも5%前後の安定成長目標へ下方修正された。この計画内容は自分の考え方に近く安心した。訪問団は具体的成果と有益な手がかりを多く得た。ベトナム側は今後どこに政策の力点を置くべきかが重要だ。日本の中小製造業が裾野産業として発展し、高度成長を基幹産業と一体で支えてきたように、輸出能力をもつ自立産業の明確化と裾野産業の育成は産業構造の重要な基盤となる。工業化に向けてベトナムが直面する課題と解決への道筋は次の4点だ。

 第一は、産業発展のコアとなる農業と商工業の均衡発展だ。農林水産業は人口で6割を占めるがGDPの2割に過ぎず生産性が低い。商工業は人材不足と急速な賃金上昇に直面している。農業近代化による余剰労働力の商工業へのシフトが必要だ。農民参加の農業法人化による土地の集約化も検討すべきだ。食品、農業機械、造船、環境機械、製鉄、石油精製分野などの自立的地場産業の育成が重要となろう。第二は、インフラ整備への取り組み強化。インフラ・ネックが中期的成長目標引き下げの背景であり、社会インフラ(電力・道路・港湾・空港、工業用水、教育、医療等)の遅れは顕著。縦割り行政の弊害もあり、横断的調整・推進が必要だ。電力開発計画も遅れている。成長率に対する電力需要弾性値の抑制(2→1.5)により電力需給の改善が図られているが、南北に長い地域間の電力融通・輸送体制は脆弱だ。日本の適切な助言が求められる。第三は、農業の近代化。農業をリードする若年層の育成が近代化の鍵を握る。農業学校を充実し、農業部門で農業に自分の将来を託す若者を育てることが重要だ。第四は、地域格差是正。ダナンなど産業の遅れている中部地域では、野菜、コーヒー生産が農業近代化の柱として期待される。味の素は商業化に向けてキャッサバ(芋)の肥料化を開発中。第五は、環境対策。工業化が進むと下水道、交通渋滞、大気汚染など都市インフラ・生活環境問題に直面する。高度成長期に経験した日本の協力が可能だ。

 訪問団はチームワーク良く行動し所期の目的を達成した。団員各位には日越外交40周年にふさわしい有意義な個別ビジネス展開と協力を期待し、参加されなかった皆様にも同様の協力を通して、自らも発展する道を追求していただきたい。



[質疑]


A氏:1)日本の原発輸出協力について、ベトナム側から言及はあったか、2)農業近代化の具体策は説明されたか。

中垣団長:1)先方の言及はなかった。日本側のエネルギー政策の見直しが固まっていないことと、ベトナムは2020年に向けての原発計画よりも直面する電力不足問題への対処が喫緊の課題。日本政府のベトナム原発計画への協力姿勢は変わらないと思う。2)農業副大臣は、教育、農業法人化、機械化、土地集約化で農業の生産性向上を図ると発言した。国の指導力がないと国家所有の農地の集約化は進まない。工業部門の成功者が農地利用権を取得する方向ではなく、農民中心の農業法人を設立しないと有為な人材は育たない。
 

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