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第4回FEC日越経済問題等協議会を開催=FEC日越文化経済委員会

ベトナム 日越文化経済委員会

2011年05月30日更新

官民連携による日本からの投資を強く期待

講演を行うヴォー・ホン・フック・ベトナム計画投資大臣

講演を行うヴォー・ホン・フック・ベトナム計画投資大臣

主催者挨拶を行う松澤建FEC理事長

主催者挨拶を行う松澤建FEC理事長

壇上の様子(向かって左3名がベトナム側、右2名がFEC側)

壇上の様子(向かって左3名がベトナム側、右2名がFEC側)

講演を行うビン駐日ベトナム大使

講演を行うビン駐日ベトナム大使

とき

平成23年(2011)5月30日(月)14時〜16時30分

ところ

帝国ホテル東京「桜の間」

概要

平成23年5月30日(月)に第4回FEC日越経済問題等協議会を開催

内容

民間外交推進協会(FEC)日越文化経済委員会(委員長・松澤 建FEC理事長)は5月30日、在日ベトナム大使館との共催による第4回日越経済問題等協議会(略称:日越経協)を帝国ホテル東京で開催した。FECはベトナムと22年の交流実績を誇り、調査団派遣や首相、共産党書記長ら要人来日時にはFEC役員との懇談会を数多く開催しており、極めて緊密な民間外交を推進している。昨年2月に発足した日越経協は、両国のビジネス交流上の様々な障害、課題について相互理解を深めるための場で、今回は昨年4月の第2回協議会に続き、ヴォー・ホン・フック計画投資大臣の来日に併せて開催され、ベトナムの投資環境と進出上の課題などについての率直な意見交換が行われた。ベトナム側はホアン外国投資庁長官、ビン駐日ベトナム大使、ミン対外経済関係局長ら20名が出席し、日本側は山口範雄味の素(株)代表取締役会長、岡崎真雄あいおいニッセイ同和損害保険(株)特別顧問、岩下誠宏(株)ADEKA名誉会長、市田行則日本原子力発電(株)相談役らのFEC役員・会員の他に各界各層の関係者も多く参加し、総勢100名の協議会となった。

協議会概要

<主催者挨拶:松澤 建FEC理事長>

東日本大震災の被災者の皆様に謹んでお見舞い申し上げますと共に、ベトナム政府、更には草の根レベルの方々からのご支援に心から感謝申し上げます。一日も早い復旧と復興の実現を確信しております。

日越両国間の投資上の問題解決や、民間経済交流促進に向けて本音で意見交換する場として、本協会と在日ベトナム大使館は昨年、FEC日越経済問題等協議会を設置しました。本日はその道の最高責任者のフック計画投資大臣を昨年に続き再び来賓としてお迎えしての開催、誠に光栄。フック大臣は、1992年の日本のODA再開以降のベトナム側のODA及び民間投資受け入れの責任者。本日はビン駐日ベトナム大使の、「共産党大会を終えてのキーポイント」のご講演の後、フック大臣より「ベトナム5カ年計画の経済重点分野、日本の官民に投資面で期待すること」のご講演をいただき、その後、ご参加の皆様とベトナム側との率直な意見交換を大変楽しみにしております。

<講演:グエン・フー・ビン駐日ベトナム大使「共産党大会を終えてのキーポイント」>

大きな被災に心からお見舞い申し上げる。日本国民の困難克服努力に対し世界は敬意を表明している。在日ベトナム研修生に対する支援にも感謝する。

1月の共産党大会は新しい中央委員及び政治局員を選任し、チョン新書記長が就任した。10ヵ年計画「社会経済発展戦略」の目標達成に向けて、行政改革、人材育成、交通インフラの整備への対処が3大突破口として重要。日越両国は「戦略的パートナーシップ」の下、政治、経済、文化交流を推進している。両国は勤勉、謙虚、強い意思、箸文化など類似点が多い。利害対立はなく、補完要素が多い。日本の資本、技術、経営管理力を期待する一方、ベトナムの豊富な若年労働力や、天然資源、農水産物が日本に魅力だ。ベトナムの政治、経済は数10年間安定している。昨年10月の菅総理訪越時に、原発第2期建設及びレアアース(希土類)開発パートナーとして日本が選ばれた。政府・民間企業の長年のベトナム協力に基づく政治決断によるもので、長期信頼関係が一層強化されよう。

<講演:ヴォー・ホン・フック計画投資大臣「ベトナム5ヵ年計画の経済重点分野、日本の官民に投資面で期待すること」>

日本国民の復興努力に感動した。両国の人的交流・企業交流を通じて築かれた深い友好関係が、困難事には友人のように感情が豊かになる。継続努力が重要であり、本協議会も両国協力維持の有力なイベント。

2011年からの5年間平均の目標GDP成長率は7〜7.5%。急速な物価上昇(5月の前年同月比20%増)、貿易赤字(GDP比19%)、財政赤字(同5.5%)に直面しており、インフレ抑制とマクロ経済の安定化が11年の課題。今年の成長率目標は6%に抑制した。今後5年間はマクロ経済の安定と社会問題の解決を重視する。所要投資額(3千億ドル)の3割は外国資金に依存する。工業の成長率目標は民間ハイテク産業を中心に8%と設定され、国有企業法制を見直し中小企業の発展と裾野産業の育成を目指す。農業近代化による都市・農村格差の縮小と農業輸出の増加を図る。金融、ICT関連中心にサービス業を発展させる。官民連携(PPP)で交通インフラ(道路、鉄道、港湾)を整備し、人材育成の強化と技術水準向上を目指す。日本は最大のODA供与国で、日本の民間企業とODAによる上記分野への協力に期待する。日本の資金・技術とベトナムの人材・天然資源をPPP方式で結合させ、経済発展を実現させたい。

<質疑応答>

A氏:都市の不動産市場は悪化している。今後のベトナム不動産への投資の好機はいつごろか。

フック計画投資大臣:金融引き締めにより不動産融資は抑制され、不動産需要も鈍化した。マクロ経済が安定すれば不動産市況は回復しよう。

B氏:PPP方式による日本の投資を増やすには税制等の優遇措置が重要。ハイテク分野の具体的投資優遇策はあるか。

フック計画投資大臣:ハイテクパークの投資誘致策によりインテル、ノキア、サムソンを誘致した。投資に関する障害があれば計画投資省が相談窓口になる。

C氏:裾野産業の進出は活発でない。十分な投資誘致策が欲しい。ハイテク企業は電力と水が重要だが、工業団地への電力、水の供給に強い意思はあるか。

フック計画投資大臣:裾野産業の優遇策は商工省が検討中。ハイテク企業は計画停電の対象外で今年の電力不足は改善しよう。水力、火力発電所の建設を急いでいる。

D氏:日本、韓国、中国、タイなどはODA卒業後に経済発展が加速した。ベトナムはどの位までODAを期待するのか。

フック計画投資大臣:ODAも条件は多様。英国との10年間のODA契約では無償資金が減額する。国際機関の条件も漸次優遇度合いが減る。日本のODAも将来は減る見通しだ。今後のODA比率は2割強へ低下しよう。

E氏:日本の原発事故後、仏製原発を選定する計画はあるか。

フック計画投資大臣:国会でも同様の質疑があった。電力需要は年15%以上の伸びが予想され、水力や風力、火力を最大限利用しても充たせず、原発計画は不可欠だ。ロシア、日本選定は変わらず、地震、津波について従来よりも大きな規模を想定し建設する。

F氏:2020年工業立国化目標に計画変更はないか。計画停電については、時間制限より日数制限の方が企業は対応し易いので、配慮いただきたい。

フック計画投資大臣:過去10年間の成長実績に基づき20年工業立国化計画を立案しており、今後の目標成長率7.5%は無理でないと思う。計画停電は政府が検討中であるが、事前通告などの配慮をしたい。

G氏:ハイテクパークに進出するが、ハイテクの定義が不明確で申請手続きに工数がかかりすぎる。ハノイの交通渋滞対策は十分か。

フック計画投資大臣:ODA関連故手続きに時間がかかる。ハイテクの定義は昨年末明文化した。渋滞対策もODAを活用した地下鉄や交差点の整備を進めている。

H氏:中小企業が工業団地に進出する際の面積要件は大きすぎる。小規模な工業団地計画はあるか。

フック計画投資大臣:中小企業進出を歓迎しており、土地面積の下限規制はない。事実確認すべきと思う。

<総括・閉会挨拶:湯下博之FEC副専務理事・元駐ベトナム大使>

冒頭、ビン大使より目標達成への3つの突破口、今後の両国緊密化の話があり、フック大臣は、不安定なマクロ経済と物価上昇という直面する困難に言及され、今後の経済安定化と社会問題解決への決意が述べられた。5ヵ年計画ではハイテク、鉱産物、サービス、裾野産業などの有望分野へ、戦略的パートナーである日本のPPP方式による長期的投資が強く期待された。質疑応答では、多数の人から活発な発言があり感謝申し上げる。日越関係は量的関係を経て一つの曲がり角に来ている。課題に対する具体的行動が今まで以上に必要との印象をもった。充実した内容の協議会となり、懇切に所見を述べられたフック大臣に熱くお礼申し上げる。

(田丸周FEC常任参与・油研工業(株)常勤監査役・記)

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