モノラインショックはじめ米国、世界の経済情勢を探る第7回FEC米国問題研究会を開催
2008年01月24日更新
今年から2〜3年は不況期に、1人当たり実質GDPの成長率の下落幅は2〜5%になるのでは?
とき
平成20年(2008)1月24日(木) 11時45分〜14時
ところ
ホテルオークラ東京・本館
概要
アンドリュー・デヴィット立教大学教授をゲストに第7回FEC米国問題研究会を開催。
内容
「2008年の米国の政治・経済情勢を探る」を主題にアンドリュー・デヴィット立教大学経済学部教授をゲストに招き、今日の世界経済が揺れ動いているその原因の米国に端を発したサブプライムショックとそれよりも大きい問題となっている「モノラインショック」をサブテーマとして
開会に際して埴岡副理事長が、「この数日の東証の株の暴落によってある個人は一日で1,000万円の損失だと悲鳴ともいえる驚きの発言があった。それにつけてもサブプライム問題はまだ小さい。それよりもモノラインショックの方が大きい問題だと言われているが、本日はこのことについてゲストからその実態を聞き、この先世界経済の行方はどうなるのか、それに対して政治はどう対策を講ずべきか、本日は真剣に且つ徹底的に議論を展開したい」と主催者あいさつ。続いて紹介を受けてデヴィット教授が約1時間その実情と問題点を資料にもとづき説明した。
講師は、説明の冒頭にまず2007年の言葉として米国方言学会が「サブプライム」を選んだが、としてそのサブプライムについてふれ、規模は1.3兆米ドル、住宅ローンは750万件、証券化されたサブプライムローンの割合は75%、延滞率21%、金融機関の損失は1,300億米ドル、米国の住宅バブルによってすでに発生している損失は1兆ドルとなるが、ある先物取引によると6〜7兆にのぼると見られると述べた。そしてサブプライムよりはモノラインの方がもっと大きな問題で、サブプライム関連の証券化商品の信用を支えた金融保証専門の保険会社(モノライン)が格下げされたことによって新たなショックが金融市場を襲ったと強調。このモノラインショックによってこの数日は世界の株が大幅に下落していると指摘、明らかにモノラインの影響で米国の債券市場全体の問題へと発展しつつあると警鐘ともいえる指摘を行った。
今後の世界経済は不況期に入る、そしてその回復までには2年から3年以上を要すると自身の見通しを語った。その不況と創造的破壊の一つとしては、米国で始っている再生可能なエネルギー革命だと話を締めくくった。
引き続いてのゲストを囲んでの質疑応答では出席者から次々に質問が出され、その内容は米国の現状を見るとまるで15年前の日本のバブル崩壊後の日本の対応と同じだ。このままではサブプライムではなく信用リスクを取引きするクレジット・デフォルト・スワップの元本の45兆ドルに影響が出るのでは、株はどこまで下がるのか、円高の行方は、この事態に至ったのは米国の金融機関がその実情について情報開示をまったく行っていないからだなどの数々の問題点が提起されゲスト、出席者間によって真剣な議論が行われた。
[ゲスト]
アンドリュー・デヴィット立教大学経済学部教授
[FEC役員・会員]
河野 俊二 東京海上日動火災保険(株)相談役・元会長
田中 宏 (株)クレハ取締役会長
野村吉三郎 全日本空輸(株)最高顧問・前会長
三好 孝彦 株式会社日本製紙グループ本社代表取締役会長
ジャン・フランソワ・ミニエ ドレスナー・クラインオート証券会社東京支店取締役東京支店長
佐藤 晃一 (株)ホテルオークラ社友・元会長
谷野作太郎 (株)東芝顧問・元駐中国大使
名倉三喜男 興和不動産(株)代表取締役社長
米谷 憲一 (株)商船三井取締役専務執行役員
茂木 賢一 (株)ボルテックスセイグン取締役
志賀 哲夫 ヤンマー(株)専務取締役
山岸喜一郎 矢崎総業(株)社長室長
島尾 直道 キャピタル・パートナーズ証券(株)取締役
佐橋 信子 東京LFEC会員
[FEC本部役員等]
埴岡 和正 民間外交推進協会(FEC)副理事長・専務理事
前田 貴俊 民間外交推進協会(FEC)企画事業部次長
(敬称略・順不同)