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セルゲイ・ナルィシュキン露大統領府長官を招き第2回FEC日露フォーラムを開催(第1回フォーラムは昨年11月にラブロフ外相を招き開会した)

ロシア 日露文化経済委員会

2009年11月30日更新

日露文化経済委員会=北方領土は交渉継続、戦略的パートナー関係の構築を目指す。FECの役割を高く評価する。

第2回FEC日露フォーラム開催風景、立って講演のナルィシュキン長官、左側内藤明人FEC日露委員長(帝国ホテル東京)

第2回FEC日露フォーラム開催風景、立って講演のナルィシュキン長官、左側内藤明人FEC日露委員長(帝国ホテル東京)

講演後、質疑応答を行なうセルゲイ・ナルィシュキンロシア連邦大統領府長官

講演後、質疑応答を行なうセルゲイ・ナルィシュキンロシア連邦大統領府長官

左側:内藤委員長らFEC役員、右側:立って挨拶のナルィシュキン大統領府長官ら露代表団

左側:内藤委員長らFEC役員、右側:立って挨拶のナルィシュキン大統領府長官ら露代表団

とき

平成21年(2009)11月30日(月)13時30分〜15時

ところ

帝国ホテル東京「孔雀東の間」

概要

セルゲイ・ナルィシュキンロシア連邦大統領府長官を招いて第2回FEC日露フォーラムを開催した。

内容

FEC日露文化経済委員会(委員長・内藤明人リンナイ(株)取締役会長)は11月30日、セルゲイ・ナルィシュキン大統領府長官を招き帝国ホテル東京で第2回日露フォーラムを開催した。FECは、調査団派遣や、政府要人の講演会、在日ロシア大使館との定期協議など19年に亘りロシアと活発な交流を行っている。今般の催しは昨年11月のラブロフ外相を招いた第1回同フォーラムに続くものであり、FEC法人会員各社代表のほか、ベールイ・ロシア大使をはじめ多くの国の在京大使、政界、経済界、報道各社から約400人が出席した。

ナルィシュキン大統領府長官は、2006年から毎年開催されている「日本におけるロシア文化フェスティバル」閉会式出席のため来日したもので、FECは副首相・官房長官在任中より親しく会談などを通じて親交を深めており、本年6月の来日時にもFEC主催の朝食懇談会を実施し招いた。

開会に際して、埴岡和正FEC理事長は、「FECは新生ロシアと19年間の交流実績があり、ロシアの民主化支援、研修団の受入れ等を各地で実施した。同時に日本人の悲願の北方四島返還を訴え、真の日露関係構築に向けて命を削ってまいりました。まさしく「ロシアと一緒に1プードの塩をなめてきた仲」でもあります。ナルィシュキン長官は8回目の来日で大変な知日家で学識・見識豊かで優れたお人柄。民間企業勤務もあり、豊富なご経験を元に政府要職でロシアの発展に尽力されている。広く日本人を前にしての講演は今回初めてのこと」と、挨拶を兼ねてナルィシュキン長官を紹介した。続いて内藤明人FEC日露文化経済委員長が、「当フォーラムは昨年11月のラブロフ外相を招待してのフォーラムに続くもので、現在の日露関係を思慮するに時宜を得た催しと確信している。日本の各界各層の識者が一堂に会する公開の講演は初めてであり、極めて有意義。改めてナルィシュキン長官に対し歓迎と謝意を申し上げる。今次フォーラムを通じて、来年の日露修好条約締結155周年にふさわしい両国関係の発展を祈念申し上げる」と主催者挨拶。ナルィシュキン大統領府長官は「日露関係の今後の展望」を演題に、ロシア経済の課題、ロシアの外交戦略、日露関係等について率直な所感を語り、講演後活発な質疑応答が行われた。

講演要旨

日本の政界、経済界、研究者等、日露関係の発展に関心ある多数の参加者が結集され嬉しい。内藤委員長以下FECの皆様に感謝する。訪日8回目で日本に心酔している。19世紀のロシアでは、「日本人の啓蒙度は世界一」と評価された。今日は、先進的科学技術分野でノーベル賞を受賞している。来年も「日本におけるロシア文化フェスティバル」開催が決定された。

現代のロシアは多民族文化を形成し、民主主義と安定の砦。広大な領土、天然資源、科学の潜在力等は、歴史上重要な役割を果たしてきたが、この遺産を如何に活用するかが課題。経済は世界不況に直撃されたが、2010年は1.6%成長へ回復の見込み。20数年間市場経済化を進めてきたが、資源依存型経済は安定的な経済発展の基礎にはならない。近代化と技術革新による経済体質の改善が必要だ。ロシアのGDP比科学技術支出は高いが成果は少ない。

ロシアの外交政策は開放的で予測可能。アジア太平洋地域を重視する。ブロック化せず多面的なネットワーク外交を志向し、アセアン、APEC、上海協力機構、BRICsフォーラム等に積極的に参加している。2010年ロシア・アセアンサミット、2012年ウラジオストックAPECが開催予定。東シベリア・極東開発計画の優先分野は、エネルギー、輸送、ハイテク。航空宇宙、原子力開発、ナノテク。サハリンIILNGPJは4月から日本へ輸出開始された。フル生産(年960万トン)すると世界シェア5%になる。食糧安全保障にも関与しており、年135万トンの穀物生産が可能で、40万トンをこの地域へ輸出している。

露日関係は重要で、共通課題(国際テロ対策、核不拡散等)への取り組みが首脳間で確認されている。日本を戦略的パートナーとして、(1)原子力協定による第三国での共同事業(2)欧州アジアを結ぶ情報網整備(3)極東シベリア開発の基盤整備(4)ナノテク、新幹線等の、両国協力案件がある。戦略的パートナーとして中国とはダイナミックな関係。国境問題が解決し、中国北東部とザバイカルの石油・天然ガス長期供給が合意済。インド、ベトナム、モンゴルとの多面的協力や、韓国とのハイテク、軍事協力が進んでいる。

日本との国境画定は歴史的に微妙な問題で、「平和条約締結なしには日露関係の発展なし」が従来の見方。来年で戦後65年を迎えるが、両国の見解は正反対で自然なパートナー関係の構築を阻害している。現世代で双方が受け入れ可能な決定を行うために、国境画定を含む平和条約締結を真剣に検討したい。日本側の「ロシアが北方四島を不法に占拠」という発言は非生産的で、自重と配慮を求めたい。対話環境の改善は重要な要素だ。率直に意見表明するFECとはパートナーとして協力する所存だ

懇談・質疑応答

埴岡和正理事長:経済課題、外交戦略、対日関係を格調高く率直に述べられた。

(ここでFEC側、ロシア側、在京大使、鈴木宗男衆議院外務委員長・同議員ら主要出席者を紹介)。
テレビで司馬遼太郎の名作「坂の上の雲」の放映が始まったが、原作発表当時、日本の民衆が素直に受け入れた司馬史観にマルクス史観は毒気を抜かれてしまった。冬は「落葉帰根」の季節でこの言葉のように、本日も日露関係を深く、深く考える場としたいものであります。指名により質問をお願いしたい。

袴田茂樹青山学院大学教授:日本はロシアとの経済発展に大変前向きな姿勢を示し、プーチン首相訪日時に原子力協定等多くの経済協力協定が結ばれた。しかし、平和条約交渉はまったく進展していない。鳩山首相も「経済協力と平和条約交渉は車の両輪のように進める」と発言した。経済だけ進められ平和条約交渉が進まない現状に日本国民は不信感をもつ。また日本側は、「ロシアの不法占拠」について何度も公式に言及しているが、何故今問題なのか。長官の見解を伺いたい。

ナルィシュキン長官:日露間の政治対話の中身は平和条約に限らず多様だ。ロシアの立場は、「対話は相互の尊敬と理解に基づき忍耐強く継続し、不要な感情は排除する」というもの。日本側は過度に感情的。政治的高熱の立場は残念。ロシア側の反発を招き、両国首脳の友好的対話の妨げになる。対話は必要であり継続することに双方関心があろう。

中川原俊輔三井物産戦略研究所ロシア・CIS・東欧ビジネス推進センター長:極東シベリア開発における中国、韓国、日本へのロシア側の期待は同じか、夫々異なるのか。

ナルィシュキン長官:3カ国との関係はいずれも重要。日本との、エネルギー、ハイテク、原子力、輸送、木材、農産物、情報等の協力分野は相互補完的で今後発展しよう。韓国、中国も戦略的パートナーで、エネルギー、輸送、ハイテク分野が有望だ。

鈴木宗男衆議院議員・外務委員会委員長:外交には相手がある。領土問題はお互いの名誉と尊厳を尊重して交渉する。政治家は運動ではなく交渉を行う。北方領土は日露の係争地域であり、最高首脳同士が過去の約束、宣言、声明等すべてに基づき、話し合いで解決することで合意をしている。ナルィシュキン長官の発言は当然と思う。日露関係は橋本、小渕、森政権で前進したが、残念ながら小泉、安倍、福田、麻生政権では後退してしまった。鳩山首相には日露関係をダイナミックに進めたいとの強い気持ちがあり、私はこの鳩山首相の思いを大事にしていきたい。

埴岡和正理事長:来年4月のロシア文化フェスティバル開催時にも、本日のようなフォーラムを通じ意見交換したい。日本の各界各層にロシアを理解していただき、ロシア側にも日本を正しく理解していただきたいという思いから、FECは相互の信頼関係を前提に、率直な発言の場を提供してきた。

ナルィシュキン長官:埴岡理事長、FEC役員、会員及びフォーラム参加の皆様に心から感謝したい。日本側とは、都合の悪い問題を含めオープンに話し、感情的暴走を防ぐ信頼に足る対話を進める所存。両国の平和を祈念したい。本日のフォーラムは大変に有意義であった。

(田丸 周FEC常任参与・油研工業(株)常勤監査役・記)
内藤日露委員長、原同副委員長らFEC役員とナルィシュキン大統領府長官、ベールイ駐日大使ら一行との昼食懇談会を催し互いにストレート・トークの場とし今後の交流促進に向けての協力を確認した
FECは日露フォーラム開催を前に、帝国ホテル東京内の別室にてナルィシュキン大統領府長官を招き歓迎昼食会を開催した。ロシア側はナルィシュキン長官、ベールイ駐日ロシア大使、メーゼンツェフイルクーツク州知事、シュヴィトコイ前文化大臣ら8人で、 FEC側は内藤明人日露委員長、原良也日露副委員長、埴岡和正理事長、&#28712在幸安、松澤建両FEC副会長ら役員10人が出席し昼食をともに、互いに本音の意見交換をした。そのテーマは、政治、経済、教育、文化、医療などの多分野にわたった。長官は、この会合は安定、定期化しており大変に有意義で今後もぜひ継続したいと語った。
来年は4月に東京で同メンバーとFEC役員との間で再び催される。

□ 日 時 平成21年(2009)11月30日(月)12時20分〜13時30分

□ 場 所 帝国ホテル東京・本館3階「鶴の間」

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