第5回FEC日露経済問題等協議会(略称・日露経協)とレセプション開催
2008年04月02日更新
FEC日露文化経済委員会=日露両国間の課題についてガルージン公使とコスティン参事官らと率直な意見交換
とき
平成20年(2008)4月2日(水) 16時〜18時(会議) 18時〜19時15分(レセプション)
ところ
ANAインターコンチネンタルホテル東京37階「アリエス」
概要
第5回日露経済問題等協議会をANAインターコンチネンタルホテル東京で開催。
内容
この数年の日本とロシア両国間の貿易投資などの経済発展はめざましい、その中にあってビジネス交流上の様々な問題が生じており、それらの課題をサブテーマとして在日ロシア大使館のガルージン公使ら各参事官の幹部とFEC日露文化経済委員会委員らがタブー無しで本音の意見を交換する場としての日露経協の第5回会議を開催した。
FEC日露文化経済委員会(委員長・内藤明人リンナイ(株)代表取締役会長)は4月2日、在日ロシア大使館と共催による第5回日露経済問題等協議会(旧称:日露経協)をANAインターコンチネンタルホテルで開催した。大使館からは、ガルージン公使、コスチン参事官、ヤーセネフ参事官ら5名が出席。FECは日露文化経済委員長代行の都甲岳洋元駐ロシア大使、森敏光元駐カザフスタン大使、新町敏行(株)日本航空取締役会長ら、FEC役員・会員が多数出席した。本協議会は両国間の経済・文化・人的交流の拡大促進につき協議することを目的に2006年12月発足し、大使館とFECが交互に幹事となって過去4回開催された。特に、日本側が抱えるビジネス交流上の障害、課題について、ロシア大使館側と本音の意見交換を毎回行っており、出席者からは「他の経済団体の会合よりは率直且つ本音の意見が出る、このような会合は他には無い」と好評を博している。今回も、協議会とその後のレセプションで活発な議論が交された。
開会に際して埴岡副理事長が内藤明人委員長が急遽欠席の説明を含めての主催者挨拶の後、日露文化経済委員長代行の都甲岳洋元駐ロシア大使が、「好調なロシア経済を背景に、42歳のメドベージェフ次期大統領は世界でも大きな力を発揮しよう。日露間の協力も力強く進むことを期待する。本協議会は両国間の懸案事項を率直に意見交換する場で、FECとロシアの関係も緊密になっている」と挨拶。埴岡副理事長がFEC側出席者を順次紹介し、「資源高から世界3位の外貨準備と高成長が続くロシア経済は絶好調だが、世界一の物価高、脆弱なインフラ、汚職等も問題点として指摘される。本日も従来のとおりにタブー無しで率直な意見交換を行いたい」と述べ、懇談に入った。
ガルージン公使:メドベージェフ次期大統領は、憲法に規定された選挙で選出された、若いが8年間重職にあり政治、経済、外交面の経験豊富、法律家出身、という点が特徴。政治哲学は、法の支配下で、自由とロシアの特色を反映した民主主義の確立だ。ロシアの民主主義は15年と若い。プーチン大統領は8年間でエリツインからの課題の多くを解決したが、メドベージェフ氏の課題は、技術革新、中小企業育成等による、資源に依存しない高付加価値経済への移行、教育改革、医療改革、住宅改革、汚職対策、旧ソ連時代からの法律軽視の是正等だ。外交政策は開放的で、政治的手段で問題解決する手法。福田首相との電話会談で、平和条約締結交渉の継続が確認されており、日露経済協力が良好な環境作りとなろう。プーチン氏の首相就任により経済外交が活発化しよう。
森日露委員:次期大統領の方針を心強く思うが、問題は実行力だ。旧みちのく銀行モスクワの名称変更にロシア当局認可が下りず本格的展開の障害となっている。派遣日本人の就労許可も半年以上待たされている。このようなことでは両国関係は順調とはいえない。
ガルージン公使:届け出制移行など行政の介入削減も主張されているので期待したい。
都甲委員長代行:斯かる問題の照会結果が短期間で得られるような「商業紛争解決メカニズム」を設置することが重要。
ガルージン公使:課題と思う。次期大統領の云う「総合的体制」内での解決を期待したい。
埴岡副理事長:要するに既存の両国間により設置されたものが機能していないというよりも形骸化している。
ミニエ・ドレスナークラインオート証券駐日代表:金融面ではJBICの資源エネルギー金融協力がある。温室効果ガス削減分野で日本は中国、ベトナムとの協力を計画しているが、ロシアも余剰国ゆえ今後期待できる。
ガルージン公使:通信等インフラ分野でJBICに期待する。アジア太平洋地域への協力も課題で、ADB加盟を申請したが先方の抵抗が強い。
中川原三井物産戦略研究所ロシアセンター長:東シベリア極東開発計画の中身が見えてこない。日本の役割をどう見ているか。次期大統領は石油富豪のホドロフスキーを恩赦すると思うか。
ガルージン公使:国際協力を前提とした計画で、有望分野は木材等原料加工、インフラ、観光。日本を含め外資を誘致したいが、プロジェクト毎の入札制故政府が外資を選定するのは困難。メドベージェフは頭から背骨まで法律が染み込んでおり、恩赦要請が出されたら法的に検討されよう。
埴岡副理事長:孫崎論文が指摘するように、ロシアの日本への期待は現実はそんなに大きくないのではないか。
ガルージン公使:ロシアは日本の国連主義と安保理常任理事国入りを支持するが、米国のイラク作戦支持やコソボ独立支持等、ロシアの国益に反する日本の外交には納得できない。両国の利害関係、接点を洗い出す必要があり、来週の日露戦略対話等で議論されよう。
中川原:ロシアは政経一体だが、日本では民間企業は政治に巻き込まれたくないという立場の違いがある。
コスチン参事官:日本の政治情勢、解散、総選挙の行方を聞きたい。
山岡JUKI会長:JUKIはグローバルに事業展開しており、個別の政府の政策の影響は少ない。
ガルージン公使:解散、総選挙はサミット前後のどちらと思うか。自民党はどう対応するか。
田丸FEC参与:政治不信が強く、早く総選挙すべきだ。日本は総選挙が少なすぎる。政党のマニフェストを読む機会が多くなれば、有権者の目線も上がろう。ロシアでトヨタ生産方式が根付くか、高付加価値経済移行の試金石として注目したい。
宮脇FEC理事:福田、小沢両氏とも話し方は下手。日本人はマニフェストよりは感覚で投票する。今後は政界再編に行き着くのではないか。
ガルージン公使:ロシアも法律軽視、政治不信を晴らしたいとの思いは強い。
埴岡:日本の製造業の進出で漸く「一緒に働き仕事をする」状況を迎える。相互の必要性を確認し、多くの課題に取組めるか真価が試されよう。次回は在日ロシア大使館で第6回同会議を5月下旬又は6月上旬に開催されることが決定。
この後、会場を隣室に移しレセプションが開かれた。FEC岡崎真雄副会長・ニッセイ同和損害保険(株)名誉会長の乾杯の音頭で、引き続き談論風発の場となり両国出席者の交流、親睦がより一層深まった。
(田丸 周FEC常任参与・(株)リケン常勤監査役・記)
[在日ロシア大使館]
ガルージン駐日ロシア公使、コスティン参事官(政務)、ヤシネフ参事官(広報)、ユリエフ1等書記官(政務)、セルゲイフ1等書記官(領事)
[FEC]
埴岡和正FEC副理事長、都甲岳洋FEC日露委員長代行、森敏光日露委員、新町俊行日本航空会長、ジャン・フランソワ・ミニエ ドレスナークラインオート証券駐日代表、岡崎真雄ニッセイ同和損害保険名誉会長、松原邦彦国際石油開発会長、宮脇宗嗣FEC理事、田丸周FEC参与、米澤泰治米澤化学社長、山岡建夫JUKI会長、神山茂ジャスティック社長、馬締和久阪和興業取締役、山口俊治ヤマザキマザック取締役はじめ関係者