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ナザロフ・ロシア連邦安全保障会議副書記を招き第90回FECロシア問題研究会を開催=重要問題を率直に意見交換を

ロシア 日露文化経済委員会

2008年02月26日更新

FEC日露文化経済委員会の主催

ナザロフ・ロシア安全保障会議副書記

ナザロフ・ロシア安全保障会議副書記

ナザロフ・ロシア安全保障会議副書記を囲んで記念撮影

ナザロフ・ロシア安全保障会議副書記を囲んで記念撮影

とき

平成20年(2008)2月26日(火) 11時45分〜12時45分

ところ

ホテルオークラ東京・本館「山里」の特別室

概要

ナザロフ・ロシア安全保障会議副書記を招き第90回FECロシア問題研究会を開催。

内容

テーマ

「国際情勢と日露関係」について意見交換・昼食会

概 要

FECは日本政府の招待を受けて来日したロシアのナザロフ・ウラジミール・バーヴロヴィッチ安全保障会議副書記とその一行をFEC日露文化経済委員会主催のホテルオークラ東京での昼食会に招き意見交換を行った。この懇談会は外務省から一行がFEC役員との懇談の機会を求めているとの依頼を受けて開催した。副書記は大統領直属の連邦政府中枢機関の実務責任者で(現在書記は空席)、軍人階級では少将の称号を有した人物。副書記にはモスクワからサープリン外務省アジア局次長ら3名が随行して来日した。

懇談要旨

埴岡副理事長冒頭発言:副書記の長年の職務精励に敬意を表すなどの歓迎あいさつ(その途中に副書記は突然立ってその場で直立不動の姿勢で埴岡副理事長のあいさつを受けた)。その後この数年の両国関係は経済分野を中心にめざましい発展を続けているが、そのような中で先日のような偵察爆撃機の日本領空侵犯や北方水域での再々の日本漁船の拿捕などは良好な両国関係に水をさすことになる。要人である貴職から現場の各機関の長にこのような事態が再び起きないように指示徹底して欲しい。

懇談・意見交換

埴岡副理事長冒頭発言:

ナザロフ副書記:困難な問題に対しては感情的になることがないよう、冷静に対処すべきである。問題の水域での漁船の拿捕などの問題については、両国外務省及び国境警備当局の間でしかるべき合意が達成されたと承知しており、これまでのような事態は生じないであろう。

ロシアは過渡期を経て、様々な直面する問題を解決してきた。これまでのような、あたかも「消防組織による火災の鎮火」といった危機管理対応ではなく、将来を見据えた優先順位付けにのっとった長期的対応が求められている。

そのために、アジア太平洋地域は平和で安定した協力の地域にしなければならない。ロシア極東地域の経済的遅れを解消しロシアの安定を確保するためにも、ロシア極東をアジア太平洋地域に統合し発展させなければならない。ロシアは極東発展プログラムを採択したが、これに日本が積極的に対応し支援の用意を表明していることを高く評価している。ロシアは国家による資金の投入を決定したが、国家のみならず民間の投資も誘致しなければならない。エネルギー産業、その輸送のみならず地域のインフラ整備を進めなければならない。運輸・通信・港湾・鉄道・物流を改善し、欧州とアジアを結び付けなければならない。また、法的な整備も重要である。経済特区も活用しなければならない。

埴岡副理事長:FECは、従来からロシアとは率直に本音で話をしてきた。友人として厳しいことも言ってきた。領土問題を解決する重要性を指摘してきた。50年、100年かけても忍耐強く交渉することだ。米国、中国なども日本がロシアとどのような関係を作ろうとしているのか大きな関心を持って注視している。ロシアと日本が手を結べば世界を変えるほどの大きな力を発揮できると確信する。

ナザロフ副書記:アジア太平洋地域の多角的関係を平和的な協力関係にしなければならない。地域にとっての最大の脅威は北朝鮮である。ロシアは韓国と関係は良いし、中国とも戦略的パートナーシップを結んでいる。米国の次期政権とも建設的なパートナーシップを継続できることを期待している。

領土問題については、忍耐強く、一貫した、建設的な話し合いを続けていくべきである。妥協的な解決、両国のみならず両国世論の支持を得られるような解決策を模索していくべきである。政治的な相互依存性を高めていくべきである。現在の両国政府の政策もそのようなものと考えている。

都甲日露委員長代行:次期大統領の政策にどのような変化が予見されるか

ナザロフ副書記:対日政策については基本的に変化はないと考える。プーチン大統領は、ロシア発展戦略、「プーチン・プラン」と呼ばれるものを発表したが、これが基本となるであろう。80%の国民の支持を得ているわけであるからこれが出発点である。今プランには、人材の育成、イノヴェーションの促進なども盛り込まれている。新たな点としては、経済分野を中心に法的基盤を整備していくことになろう。許可制を届け出制にするなどの効率的な行政に配慮するであろう。腐敗との闘いもある。教育、保険、年金などの社会政策にもさらに力をいれることになろう。

森日露委員:プーチン大統領の発言とメドヴェージェフ第一副首相の発言を注意深く比較すれば、やはりニュアンスに相違がある。メドヴェージェフ第一副首相は法律の軽視の問題を強く指摘している。また、国営企業取締役会からの国家公務員の排除を主張するなど国家の経済への関与に慎重な姿勢を打ち出しているように思う。

ナザロフ副書記:法的ニヒリズムの問題は、先に述べたように経済分野を中心に法的整備が進むことになろう。新たな社会になって短期間の間に全ての法律を改正してきたわけであるから、これからさらに整備をしていく必要性に注意を向けることは当然であろう。
国家企業はモンスターに成長するわけではない。主に、イノヴェーションに力を入れていく。中小企業の育成にも注意を払うことになる。国営企業取締役会への公務員の参加については、国家の政策を企業の活動に反映させるために必要なものである。しかし、今後はより選択的、制約的な関与になっていくであろう。

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