孫崎享防衛大学校教授を招き第88回FECロシア問題研究会を開催した
2008年01月31日更新
FEC日露文化経済委員会主催による第88回同研究会でロシア政治・経済情勢等を探求する
とき
平成20年(2008)1月31日(木) 11時45分〜13時45分
ところ
ホテルオークラ東京・本館
概要
孫崎享防衛大学校教授を招き第88回FECロシア問題研究会を開催。
内容
「下院選でプーチン与党圧勝後のロシア政治、経済の行方、日露関係は」をテーマにロシア、中東問題の専門家の孫崎防大人文社会学郡長をゲストスピーカーとして招きロシア情勢と国際情勢全般について探究した。
開会に際して内藤明人FEC日露文化経済委員長(リンナイ(株)会長)が、先の選挙でプーチン与党が圧勝、資源高騰もあって経済も発展を続けており強いロシアが目立つが今後どのようになるのか大変に関心があると主催者あいさつ。埴岡副理事長の紹介を受けて孫崎講師が、事前に講演テーマに基づき十分に整理された内容を理路整然とロシアと国際情勢を講演。長らくロシア、中東との外交に当ったベテラン外交官、第一人者の研究者であることが納得できる切れ味での話しをFEC役員が真剣に聞く場となった。
孫崎講師は約45分間次のとおりロシア情勢について熱っぽく講演。続いての質疑応答の場でも詳しく答えた。講演はロシア人のアイデンティティーとは、ロシアは欧州の一員であること、ロシア人との交流のためにはロシア人国民性を理解が重要とその国民性を歴史も含めて説明した上で、ソ連の崩壊と現在の情勢を、再びソ連に戻ることはなく経済の効率化が悪いが市場経済はさらに進むと述べた。ただ帝政ロシアからの伝統の中央集権、強権的体質は続く。KGBグループは政治と経済も広汎に掌握したと指摘。資源開発と戦略産業、航空機など40の分野はより国策的な運営をめざす。そして外国の出資は制限する。その法律も国会で承認されたという外資の排除を説明。
日ロ関係は、ロシアは力で押してくる。エリツィン時代に日ロで合意したことは消滅したと受けとめるべきだ。ロシアの対日はその重要性は極めて小さい。経済交流も大きくは拡大しないのではと述べ、対露ビジネスは一回勝負は難しくはないが投資は困難があると強調した。さらにはメドベージェフ大統領の下でもプーチン体制が継続。将来のロシアの姿は、ロシアの対外関係、日露関係の各分野について詳しく説明。質疑応答では、原油価格、円高などの具体的なサブテーマについても講師と率直に意見を交わした。
閉会に際して内藤委員長は、これまでに様々な方々を招いたが今日までに抱いていた様々なロシア問題の疑問について溜飲が下がる思いがした研究会は初めてだと総括を兼ねての閉会あいさつした。埴岡副理事長も「内藤委員長のコメントが本日出席の皆様の感想だ」と思うと語り会を終えた。
[ゲスト] 孫崎 享 防衛大学校人文社会学郡長・元駐ウズベキスタン大使
[FEC役員・会員]
内藤 明人 FEC日露文化経済委員長・リンナイ(株)取締役会長
都甲 岳洋 FEC日露文化経済委員長代行・三井物産戦略研究所特別顧問
福澤文士郎 FEC日露文化経済委員・東亞合成(株)代表取締役会長
松尾 邦彦 FEC日露文化経済委員・国際石油開発株式会社代表取締役会長
西村 英俊 双日(株)特別顧問
渡邊 五郎 森ビル(株)特別顧問
中嶋 洋平 日油(株)代表取締役会長
本間 克巳 株式会社ジーアンドエイチ代表取締役・本間獣医科医院々長
四十物 実 ANAセールス(株)代表取締役社長
山田 一彦 電源開発株式会社国際事業部調査役
吉竹 良陽 (株)住友商事総合研究所海外市場第二部長
[FEC本部役員等]
埴岡 和正 民間外交推進協会(FEC)副理事長・専務理事
前田 貴俊 民間外交推進協会(FEC)企画事業部次長