アカウンタビリティーと透明性が強く求められている中で=小森田東大教授を招き、ロシア司法制度を
2007年03月28日更新
第72回FECロシア問題研究会 FEC日露文化経済委員会
とき
平成19年(2007)3月28日(水) 12時〜14時
ところ
ホテルオークラ東京・本館
概要
ロシアの司法制度をテーマに第72回ロシア問題研究会。
内容
帝政ロシアの第1の改革、そしてソ連時代、続いて今日の第3の司法改革を迎えているロシアの司法制度を日本と比較する中で、権力分立、裁判所等のロシアの現状について理解を深める機会とした。
本協会の平成18年度(2006)の国別委員会主催の国別研究会で学識経験者・専門家を招いての年度内最後の研究会となった第72回FECロシア問題研究会は、多くの日本人がロシアの法治国家の司法制度とその運用の現状について疑問を抱いている中での開催となった。出席者からも多くの疑問点を小森田教授に投げかけたが、確たることもないので講師も一々答えることには苦慮する場面もあった。埴岡副理事長もロシアは民主化15年であり今だ過渡期にあり今しばらく時間が必要とコメントした。
埴岡FEC副理事長の主催者あいさつの後、講師の東京大学社会科学研究所長の小森田秋夫教授を紹介。小森田教授は、冒頭に同大学社会科学研究所の役割と組織概要を説明した後、教授自身が作成し持参の詳細な資料に基づいて「ロシアの司法制度」をテーマに、ロシア憲法の規定でロシア大統領は、大統領令による立法権、政府の執行権の強大な発言権、裁判官の任命権等の強大な権力を有していることやロシアの裁判所制度、検察庁の政治性、裁判官の独立性、法律家の腐敗、裁判へのアクセスの問題点について詳しく説明。さらにはロシアの司法制度はその司法改革が進んでおり、ロシアが日本の司法に近づいていること、一方日本がロシアに近づいているという刑事訴訟法上での被害者問題、ロシアが日本を追い抜いた取調べ中の弁護士の立会いが認められている。さらにはロシアが廃止したものを日本が制度化しようとしている裁判員制度等の日ロを比較して説明を行った。
講演後は昼食をともに出席者がロシアの司法制度の建前と現実についていくつかの事例を挙げて質問を行った。閉会に際して埴岡副理事長が、多くの日本企業がロシアに進出する中で単にカネ儲けのビジネスという視点だけでロシアをとらえていると大きなトラブルとなり、言わば自身の無知から発生させることになるので、ロシアのもっと多くのことをしっかりと学ぶことが肝要だとあいさつ。