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トルキスターニ駐日サウジアラビア大使を招き第46回FEC中東問題研究会・昼食会を開催

サウジアラビア 日中東文化経済委員会

2009年10月13日更新

大使と日本語により率直な意見交換の場となり、今後も研究会を継続することで双方合意する

講演するトルキスターニ駐日サウジアラビア大使

講演するトルキスターニ駐日サウジアラビア大使

駐日サウジアラビア大使を囲んでの第46回FEC中東問題研究会開催風景

駐日サウジアラビア大使を囲んでの第46回FEC中東問題研究会開催風景

とき

平成21年(2009)10月13日(水) 12時〜14時

ところ

帝国ホテル東京

概要

トルキスターニ駐日サウジアラビア大使を招き第46回FEC中東問題研究会を開催

内容

民間外交推進協会(FEC)日・中東文化経済委員長小長啓一AOCホールディングス(株)参与は10月13日、トルキスターニ駐日サウジアラビア大使を帝国ホテル東京に招き、第45回中東問題研究会を開催した。サウジアラビアは日本の最大の原油供給国として重要な国であるが、大使は経済、石油のみならず人的、文化・教育交流の促進も期待しており、今般の研究会開催となった。懇談会には、片倉邦雄元駐エジプト大使、荒木浩東京電力(株)顧問、松澤建(学)青山学院理事長、生田正治(株)商船三井相談役、野村吉三郎全日本空輸(株)最高顧問、松尾邦彦国際石油開発帝石(株)会長、小林哲也(株)帝国ホテル取締役社長、八丁地隆(株)日立製作所代表執行役執行役副社長らFEC役員、法人会員が多数出席した。

開会に際して埴岡和正FEC理事長より、「トルキスターニ大使は80年代に日本に公費留学され、日本に精通し日本語も達者。学問、ビジネス、外交面で活躍された八面六臂の経歴。国王より経済、石油のみならず教育、文化等幅広い交流促進を命ぜられ着任された。FECは大使の格好のパートナーとなり全面協力したい」と主催者挨拶。続いて、トルキスターニ駐日サウジアラビア大使より日本語で、滞日経験に基づく文化、教育交流への期待が語られ、講話の後オフレコを交えながら、一問一答の昼食懇談会が和やかに行われた。

(注) 4年前に即位したアブドラ国王は教育開国に取り組み2003年には8校しかなかった国立大学が昨年には21校となった。また、国の奨学金で海外留学するサウジ学生は5万人に達している。女子の高等教育にも力を入れている。

 

講演要旨

国王から「日本の事情を良く知っているので任せる」との重責を負い4ヶ月前に着任した。日本がサウジを大切にしていることを再確認したが、今後の両国関係をどう発展させるかが課題だ。来年、「日本におけるサウジアラビア年」活動を計画しているので、助言、提言をいただきたい。住友化学とアラムコの合弁会社(ペトロ・ラービグ)の開業式典(11/7)への招待状を日本の要人へ送ったが、誰が出席するのか。ファイサル国王が71年に来日し「ルッキング・イースト・ポリシー」で日本重視と関係強化を表明した。オイルショック後日本のイスラム熱が高まった。自分は30年間日本と関ってきたが、石油より人間関係の大切さを学んだ。両国とも都会の人々は多忙で建前論が多いが、地方こそ本音が聞ける。早大留学時代の恩師は父親のように面倒をみてくれ、礼拝も認めてくれた。やさしく親切な日本人精神や文化をサウジへ持ち帰りたい。日本も両国関係の10%でも文化、教育交流に割いて欲しい。

知識・術は欧米にもあり得られる。日本からは日本の倫理とマナーを学びたい。今月中に両国の中堅層が対話する「サウジ友好クラブ」を民間ベースで立ち上げたいと思っている。政府開発援助を卒業したがJICA(国際協力機構)の技術訓練支援等には感謝している。

懇談・質疑応答

埴岡和正FEC理事長:大使は留学生時代、日本人の情にふれて日本人贔屓になり、両国関係強化に活躍された。教育を含め人間関係を重視する大使の方針に出席者は理解されたと思う。

小長啓一AOCホールディングス(株)参与:3年前、サウジは世界中に2万人派遣する留学生を公募したが、日本の大学の受け入れは2百人程度で残念だった。英語教育の未整備と博士号取得の困難さが障害であった。以後、事態は改善し日本は積極的受入れが可能となっているので大使も認識を改められたい。

トルキスターニ大使:日本への留学生2百人のうち女性が30人。来年迄に2千人へ増加させたい。サウジの職場ではTQM等日本の品質教育が流行しており、日本語の方が日本の文化、哲学を真に学べると思う。若者はアニメから簡単な日本語は知っている。自動車、プラスチック、電機に続く技術訓練施設が欲しい。石油以外の分野でも可能な交流を進めたい。青山学院も留学生を受入れて欲しい。

埴岡和正FEC理事長:「日本語で学ぶ、日本人から学ぶ」とは、大使の的を得た指摘だ。

松澤建(学)青山学院理事長:大使の意見に基本的に賛同する。FECはベトナム、モンゴルへ教育調査団を派遣したが、彼らの考えも同じだ。青山学院には日本語専門コースもある。早急にサウジとの教育交流を検討し、日本人の公、社会への忠信を学ばせたい。

生田正治(株)商船三井相談役:日本人のマナーや倫理観はかなり崩れてきている。再構築が必要だ。先月、国立大学長会議で留学生受入れにつき議論した。英語授業の導入、寄宿舎整備等の制度改革が必要か。アジアの学生は日本の大学を評価せず、欧米指向が強い。サウジに模範を垂れていただけると有難い。

松尾邦彦国際石油開発帝石(株)会長:相互理解が重要との大使の見解に感銘を受けた。中東にどう日本を理解してもらうか。日本の情報発信力劣るので、アラビア語の絵本やニュースなど必要と思う。

野村吉三郎全日本空輸(株)最高顧問:国同士の交流は国を観ることで、観光につながる。中東は文明発祥の地。大使が設置される予定の「サウジ友好クラブ」の会員や観光客をサウジに送りたいので大使のご支援を願う。

トルキスターニ大使:英語メディアのせいでサウジへの誤解もあるし、直接的な情報も少ない。観光は重要。観光査証もできたが、日本の旅行会社のサウジ観光の料金は高い。

八丁地隆(株)日立製作所代表執行役執行役副社長:日立は今後も社会インフラの仕事を中心にサウジに協力する所存。小中学校の教室の電子化・IT化を推進中で、黒板の電子化により知識の共有と教育意欲の向上が期待される。技術と人間の両分野で貢献したい。

トルキスターニ大使:日立ファンで大学の学部長の時、日立のスマートボードを導入した。

吉川恵章三菱商事(株)執行役員業務部長:当社はプラスチック訓練センターで協力中。技術訓練、人材育成を付加した商取引で関係が深化した。人的交流も支援したい。

片倉邦雄元駐エジプト大使:大使の日本への深い理解を嬉しく思う。遠藤駐サウジ大使は初めてのアラビスト大使で良好な関係が続こう。サウジ理解にはイスラム教の理解が必要だ。日本での理解が深まっているがまだ足りない。大使館内にアラブイスラーム学院があるが、日本語で語りかけることが重要だ。女性間の交流も必要だ。

荒木浩東京電力(株)顧問:サウジに原発計画の可能性があれば、和製原発で協力したい。温暖化ガス削減対策として世界で原発回帰の動きがある。

トルキスターニ大使:情報がないのでわからない。原発への理解はあり、開発されれば良いと思う。

埴岡和正FEC理事長:唯一の被爆国日本の原発の平和利用は、地球温暖化に貢献できるとの、電力各社や、機器メーカーの強い意向もある。ぜひ大使は東電の原発視察うぃ勧めたい。

田丸周FEC常任参与:FEC調査団で訪問したブルガリア、ポーランド、ウクライナは、「エネルギーの脱ロシア依存」から、日本の原発技術への強い期待があった。サウジは資金問題がなく排出権取引を介在させる必要もない。

宮脇宗嗣スカラキャピタルマネジメント(株)取締役会長:ペトロ・ラービグは住化の屋台骨ともいえる大PJ。稼動が開始されたがエチレン需要見通しはどうか。

生田正治(株)商船三井相談役:商船三井はサウジの対日原油輸送の4割強を扱っている。サウジの問題は淡水化プラントで賄っている水ではないか。以前アラビア半島の地下には化石水があるとコーランに記されていると聞いたが事実か。

トルキスターニ大使:水は重要で、淡水化だけでなく水のリサイクル方法も開発中。提案して欲しい。コーランでなく預言者モハンムドの話として伝えられている。

小林哲也(株)帝国ホテル取締役社長:建国記念日の祝賀レセプションを当ホテルで開催いただき感謝する。日本の観光キャンペーンは苦戦中。ホテルも協賛するので大使館主導で旅行会社や観光客誘致をお願いしたい。

安藤勉(株)日本航空執行役員:以前は南回りがあったが現在は中近東便はないが、11月7日の国王が出席されるペトロ・ラービグ式典には全日空と共に1機ずつチャーター便を運航する。日本へは音楽、アニメ、映画への関心から台湾、韓国、中国人旅行者が増加している。

トルキスターニ大使:日本との航空協定で関空、中部乗入れが可能だが、ぜひ成田も追加してほしい。価格競争ありサウジ航空の日本路線の成功はむずかしい。

埴岡和正FEC理事長:両国関係の具体的発展が重要だ。早速、大使の東電の原発視察と青山学院訪問の日程調整をしたい。次回からは貴大使館とFECの交互の主催でこのような意見交換の場を持ちたい(大使は全面的に賛同)。

(田丸周FEC常任参与・油研工業(株)常勤監査役・記)

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