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アタジャンル駐日トルコ大使を招き第38回FEC中東問題研究会を開催=めざましい経済発展を続けるトルコと日本との関係強化を目指して

トルコ 日中東文化経済委員会

2008年02月27日更新

FEC日中東文化経済委員会の主催

立ってあいさつのアタジャンル駐日トルコ大使、その左はブリゲル在日トルコ大使館顧問

立ってあいさつのアタジャンル駐日トルコ大使、その左はブリゲル在日トルコ大使館顧問

とき

平成20年(2008)2月27日(水)  11時45分〜13時45分

ところ

ホテルオークラ東京・本館「山里」の特別室

概要

アタジャンル駐日トルコ大使を招き第38回FEC中東問題研究会を開催。

内容

テーマ

「トルコと中東情勢、両国関係の今後」について意見交換・昼食会

概 要

FEC日・中東文化経済委員会(委員長・小長啓一AOCホールディングス(株)取締役相談役)は2月27日、セルメット・アタジャンル駐日トルコ大使を招き第32回中東問題研究会をホテルオークラ東京で開催した。

開会に際して埴岡和正FEC副理事長が、「トルコと日本の関係の歴史は古い。FECもトルコとの交流は20年となる。トルコは義理固い国で親日的。経済も好調だ。大使をお招きした本日の懇談会を、トルコと日本の経済交流を飛躍させる第一歩にしたい」と主催者挨拶。大使より、「着任後1年経ったが両国の友好関係を実感している。両国はアジアの両端に位置し遠く離れているが国民感情は暖かい。政治・経済摩擦はなく嬉しく思う。両国とも大きな文化と古い歴史をもつ。トルコもオスマン帝国を引き継いでいる。両国とも世界的に重要な役割を果たしており日本の発言は重い。日本は世界2位、トルコは16位の経済大国。政治摩擦がないにも拘らず経済交流は十分でない。今日は皆様から率直な意見を伺いたい」と挨拶があった。研究会にはFEC役員・会員が多数参加し、片倉邦雄日・中東文化経済委員長代行・元駐エジプト大使の発声で乾杯した後に、昼食をともに懇談を行った。

懇談要旨

埴岡副理事長:1915年のアルメニア人虐殺を巡る米下院のトルコ非難決議に、駐米大使を召還させるなどのトルコの外交政策に深く敬意を表したい。主権国家の尊厳のために理不尽な決議には断固抗議する国家の姿勢は立派だ。日露戦争も日本はトルコの支援で勝てた。50年前皇室の恩賜のたばこの葉はトルコから輸入された。

片倉日中東委員長代行:トルコには2度助けてもらい恩義に感じている。85年のイラン・イラク戦争時にトルコ政府は特別機で邦人を救出し、90年の湾岸戦争時にも人質になっていた邦人がトルコ航空のチャーター機で脱出できた。近隣でイスラム化が進む中、トルコではEU加盟を控えて、「スカーフ着用」が大問題になっているが。

大使:85年当時自分は外務省航空課で直接任にあたった。友人を助ける事は任務であり、救援できて嬉しく思っている。一方99年トルコ大地震の際の日本の復旧支援を国民は大変感謝している。トルコは歴史的に宗教色が強い国家であるが、トルコ共和国の創設者アタチュルクは宗教の重みから解放すべく、政教分離を進めてきた。国家が宗教に関与せず信仰も自由、という政教分離は憲法2条で規定され改正できない条文だ。小学校から大学まで女性のスカーフ着用が禁止されているが、賛否につき国を2分する激しい論争となっている。トルコは民主主義国家で言論は自由。どう決着するか不明だが政教分離の理念が後退することはない。

鎌野代志美(株)日本航空インターナショナル顧客販売部長:イラン革命直後に日本航空はテヘラン・欧州間に救援機を飛ばした。

武藤高義カルピス(株)常任相談役:日本・トルコ間の若者などの人的交流を深めるにはどうすべきか。

大使:両国とも帝国の歴史をもち伝統を重視する。日本は伝統を守りながら近代化を達成した。トルコも西洋化を目指したが成果は日本に劣る。日本に学ぶ点は多い。トルコ留学生は欧米に多く、日本には少ない。トルコは世界9位の観光大国。日本人観光客は昨年3割増加した。トルコ航空は週7便の日本便の増便を希望しているが成田の制約から困難だ。日本は直行便に興味がないようだが今後に期待したい。人的交流は大使の重要な任務だ。

岩下誠宏(株)ADEKA名誉会長:信仰の自由はあるのか。トルコ語人口はどの位か。

大使:言語・信仰・人種差別は一切ない。トルコ民族は東から移動したアジア民族。トルコ語圏は中央アジア、コーカサス、バルカン地域に広がり、トルコ人口の3倍だ。ウラル・アルタイ言語でハンガリー、フィンランドと同じ系統。

武居信男蘭日貿易連盟日本代表:トルコは制度・慣習の違いから容易な市場ではないが、EU加盟で改善されよう。オルハン・パムクの「雪」を読んだが、文学作品からトルコを正しく理解するにはどのような注意が必要か。

大使:開放経済をつくり、5500ドルの一人あたり所得を5年で1万ドルへ増加させる計画だ。産業基盤が発達しておりトルコ市場は信頼されている。外国からの直接投資は06年以来毎年20億ドル流入し、今年も同水準が期待される。経済に加えて文化・音楽も活発。広大な文明の交差点に位置しており、小説だけでなく是非肉眼で見て欲しい。

岡崎真雄ニッセイ同和損害保険(株)名誉会長:観光産業は発達している。トルコの投資信託の勧誘を受けたが製造業はどうか。

大使:2001年の経済危機以後、株価は上昇を続け株式市場は活況だ。金融自由化も進んだ。外国人投資家に人気があり、「トルコ経済に良くないのではないか」という批判もある。政府は株式市場よりも直接投資へ誘導したいとの見解。

松原:2週間訪問した。広大で、活気ある魅力的な市場だ。農業大国で6つの産品で世界首位。養殖も欧州3位。10大財閥とトヨタ、いすずは合弁事業を展開しており、トヨタ・トルコは数年前最大の輸出企業であった。チョコレートのゴディバも最近トルコ企業に買収された。

閉会に際し埴岡副理事長より、次回は大使館で懇談の場を設けて欲しいとの提案に、大使は「有意義な意見交換で友人が増えたことに感謝したい。大使館で再会したい」と述べ、昼食懇談会を終えた。

出席者

[ゲスト]

セリム・セルメット・アタジャンル駐日トルコ共和国特命全権大使

ブリゲル在日トルコ大使館顧問

[FEC役員・会員]

岩下 誠宏 FEC副会長・(株)ADEKA名誉会長

武藤 高義 FEC副会長・カルピス(株)常任相談役(前会長)

田中  宏 FEC副会長・(株)クレハ取締役会長

岡崎 真雄 FEC副会長・ニッセイ同和損害保険(株)名誉会長

片倉 邦雄 FEC日中東文化経済委員長代行・元駐エジプト大使

渡邊 五郎 森ビル(株)特別顧問・元三井化学(株)会長

今田  潔 信越化学工業(株)顧問

宮脇 宗嗣 民間外交推進協会(FEC)理事

武居 信男 蘭日貿易連盟日本代表

鎌野 代志美 (株)日本航空インターナショナル顧客販売部部長

本間 克巳 (株)ジーアンドエイチ代表取締役・本間獣医科医院院長

田丸  周 (株)リケン常勤監査役・元日本興業銀行調査部長

太田 敏之 電源開発(株)調査役

松原 武夫 ヤンマー(株)海外総括部企画グループ専任課長

[FEC本部役員等]

埴岡 和正 FEC副理事長・専務理事

前田 貴俊 FEC事務局・企画事業部次長

 

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