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エリ・コーヘン駐日イスラエル大使が「日本人とユダヤ人」をテーマに講演

イスラエル 日中東文化経済委員会

2007年02月08日更新

第23回FEC中東問題研究会、FEC日中東文化経済委員会

あいさつする小長FEC日中東委員長、その右は片倉同委員長代行

あいさつする小長FEC日中東委員長、その右は片倉同委員長代行

中東情勢も講演するコーヘン駐日イスラエル大使

中東情勢も講演するコーヘン駐日イスラエル大使

とき

平成19年(2007)2月8日(木)12時〜14時

ところ

ホテルオークラ東京・本館11階

概要

日本人とユダヤ人の共通性及び中東情勢をテーマに第23回中東問題研究会。

内容

テーマ

日本人とユダヤ人の共通性及び中東情勢

内 容

FEC日中東文化経済委員会(委員長・小長啓一AOCホールディングス(株)相談役)は2月
8日、エリ・コーヘン駐日イスラエル大使を招き第17回中東問題研究会をホテルオークラ東京で開催した。開会に際して、小長啓一日中東文化経済委員長が、「日本とイスラエルの文化、歴史の類似性、イランなど中東情勢の展望など大使の率直な見方を伺いたい」と主催者挨拶。埴岡FEC副理事長より、「多くの日本企業がイスラエルの特許を利用するなど経済関係は深まっている。大使も両国関係強化に日々尽力されている」と大使を紹介した後、コーヘン大使より、「日本人とユダヤ人」をテーマに、両国の類似性、イスラエル経済、中東情勢について見解が述べられた。研究会にはFEC役員・会員らが多数参加し、講演後昼食を挟んで大使と活発な議論がかわされた。

講演要旨

一神教のユダヤ教と八百万の神々から成る日本の神道には共通性がある。出雲大社の19の部屋は、「すべての場所に神は宿る」と解釈される。ユダヤ人も1と9を加算した10から無限を想像する。両国民とも伝統、知恵、知識に立脚している。04年ノーベル化学賞を受賞した当国の学者が20年来の関係を重視し、世界中の大学から阪大を選び教授に就任した。

イスラエルは第2のシリコンバレーといわれ、IT、ナノテク、バイオ、セキュリティ技術、農業技術立国だ。ジュネーブでの技術コンテストでは、米国を抑え1位を獲得した。米ナスダック証券市場上場社数は、米国に次ぐ2位へ上昇した。インテルは3工場を持ち、ペンティアムIVもイスラエル製だ。短距離航空機製造技術も高く、インドに輸出した航空機から、パキスタンはすべての行動が監視されている。

温暖化から世界中で砂漠化が進行しているが、イスラエルだけが砂漠化阻止に成功している。「砂漠と闘わず一緒に仕事をする」発想で、太陽熱、土壌、ITを駆使した有機農法を開発した。砂漠トマトは甘く全量輸出され、砂漠プールではエビ、魚の養殖が盛んだ。国連環境計画へも支援しており、イスラエル科学者と日本の経済人が協力できる分野だ。

イ日貿易は過去2年で5割増と好調。日本の企業進出は30社。1月のリヴニ外相の訪日時に両国の政治対話強化、経済・文化交流の拡大が協議された。

79年迄イランとの関係は良好だったが、イラン革命後は敵対関係になった。イスラム過激派はコントロール不能故、政権交代が望ましいのだが。中東では、シーア派と穏健派との勢力バランスが崩れており、周辺諸国にも脅威だ。イランが強大になると、シーア派を抱えるイラク、サウジが困る。各国とも米国に何とかして欲しいと思っているが、イラン攻撃は大問題。イランはイラクと異なり複数の核施設をもつからだ。

米国は勝つというイメージが必要。イラクで負けると、「米国は弱い」とみられ、過激派台頭の恐れがある。イラクへ米軍増派するまで米国の仕事は終わらない。

懇談・質疑応答

 

野村: 貴国の文化相にアラブ人が就任し大変に好感をもった。
大使: 当国が民主的に運営されている証明。48年の建国以来、西岸、ガザ地域のパレスチナ人はヨルダンやエジプトから民主的権利が付与されず難民のままだ。イスラエル国内のパレスチナ人にはユダヤ人と同じ市民権を与えている。但し兵役は義務でなく選択制だ。ヨルダンとは94年に平和条約を結び、紅海浄水化、ハエ駆除などの共同プロジェクトを推進している。和平が経済発展への道だ。
渡邊: 経済協力も大きな要素と思うが、中東和平の鍵は何か。今後とも永遠に中東に平和はこないのか?
大使: 解決策あれば平和になっていよう。解決しても石油を巡る宗派間紛争がある。最近、前モサド(イスラエル諜報特務局)長官は、「9.11以降第三次世界大戦に入った。各地の爆弾テロはイスラム過激派によるもので、解決には長時間必要」と発言した。当国は和平の為に西岸、ガザから無条件に撤退したが、エルサレムを捨てれば、イスラエルは崩壊する。アラブの内部抗争は自覚する迄続こう。唯一の希望は、当国のアラブとの関係構築だ。PLOのアッバス議長との交渉も停止していない。当国は正常な仕事をしている。長年敵対関係にあったエジプトもヨルダンとの成功事例をみて、昨年当国との平和条約締結を要求、交渉に入った。
片倉: かつてイザヤ・ベンダサンは「ユダヤ人と日本人は違う」と言った。パレスチナ紛争では強国の貴国が譲歩すべきと思うが。
大使: 彼はユダヤ人ではなかった。神道もユダヤ教も伝道を強要しない。両国とも狭い社会で、精神面が似ている。日韓も近隣同士でなぜ領土問題を起こすのか。中東も同様だ。
埴岡: 伊勢神宮の灯篭にはダビデの星と似た印があり、失われた十二部族が想起される。
大使: 自分も驚いたが、遺跡や書物で証明されていない。
埴岡: 次回は貴大使館に招いていただき研究会の開催を。
大使: 歓迎する。期日は調整してお知らせする。

[閉会挨拶:片倉邦雄日中東文化経済委員長代行]

政治、経済、文化面などの広範なお話で大変有益であった。両国は深い精神で繋がっており、今後とも良好な関係を強化していきたい。

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