松澤建団長以下第7次FECインド訪問団が実り多い訪問を終えて帰国
重要閣僚と会談。日本からのインフラ投資に期待
とき
平成24年(2012)2月19日(日)〜2月27日(月) 9日間
ところ
デリー、ムンバイ
概要
松澤建団長の下第7次FECインド訪問団が実り多い訪問を終えて帰国
内容
民間外交推進協会(FEC)は、松澤建FEC理事長を団長とする第7次インド訪問団を2月19日〜27日の日程でデリー、ムンバイの2都市に派遣した。本年は日印国交樹立60周年にあたり、また昨年、日印包括的経済連携協定が発効したこともあって、友好ムードが高まる中でのインド訪問となった。
訪問団は松澤団長以下、顧問の平林博FEC日印文化経済委員会顧問、公益財団法人日印協会理事長(元駐インド大使)のほか、化学、医薬、鉄道、電力、建設等の分野の法人会員の関係者によって編成された。
【日程】
〈2月19日〉 成田空港JAL貴賓室にて結団式。日本航空にて一路デリーへ。着後、大使公邸にて齋木昭隆駐日インド大使主催の夕食懇談会(日本商工会幹部も同席)。
〈20日〉 終日=アグラ(タージ・マハル、アグラ城、大理石工場)視察。
〈21日〉 午前=ホテルにて塚田玉樹在インド大使館公使によるブリーフィング。通信・IT省にてチャンドラシェーカール通信・IT省筆頭次官と面会。午後=気象庁にてクマール計画・科学技術担当国務大臣との会談。首相府にてナイヤール首相顧問と会談。商工省にてシャルマ商業・工業・繊維大臣と会談。インド門の視察。
〈22日〉 午前=デリー・メトロ公社にてジョシ財務担当役員及びクマール運行担当役員と面会。デリー・メトロ試乗。電力省にてシンデ電力大臣と会談。午後=国家計画委員会にてアルワリヤ国家計画委員会副委員長と会談。農村開発省にてラメシュ農村開発・飲料水・衛生大臣と会談。
〈23日〉 午前=エアインディアにて空路ムンバイへ。午後=インド商業会議所(IMC)にてドシーIMC会頭と面会、MOU調印式及び昼食懇談会。マハラシュトラ州政府庁舎にてガイクワド・マハラシュトラ州首席次官との面会。インド準備銀行にてチャクラバルティ・インド準備銀行副総裁と面会。総領事公邸にて持田多聞在ムンバイ総領事主催の夕食懇談会。
〈24日〉 午前=ムンバイ証券取引所の視察。午後=市内視察。
〈25日〉 午前=エレファンタ島の石窟寺院視察。午後=エアインディアにて空路デリーへ。
〈26日〉 午前=市内視察。午後=インドのプレスを招き記者発表及び茶会。日本航空にて帰国の途へ。
〈27日〉 午前=成田空港着。
【団員】
団長=松澤建FEC理事長、日本興亜損害保険株式会社相談役・元会長
顧問=平林博FEC日印文化経済委員会顧問、公益財団法人日印協会理事長、元駐インド大使
団員=宮下博文信越化学工業(株)顧問▽丸山亮特許業務法人共生国際特許事務所副所長・弁理士▽西田憲正東横イングループオーナー(創業者)▽采孟第一三共(株)取締役専務執行役員、ランバクシー・ラボラトリーズLtd.取締役会議長▽岡崎博衞凸版印刷(株)常務取締役▽小田和裕日本貨物鉄道(株)取締役技術開発部長▽太田敏之電源開発(株)ニューデリー事務所長▽永尾眞前田建設工業(株)専務執行役員建築事業本部長▽恩地祥光(株)レコフ代表取締役社長▽中田みち(株)トーエル代表取締役社長▽森亮HANWA INDIDA PRIVATE LTD社長▽大林香子(株)マダム・ヒロ常務取締役
特別随行員=ペマ・ギャルポFEC常任参与、桐蔭横浜大学大学院教授
事務局長=前田貴俊FEC事務局長
随行員1名
【訪問の成果】
インドは、古くからの文化・宗教や多様性に富んだ伝統的な顔と新しい新興国の顔を併せ持つ。「見ると聞くでは大違いの国」である。訪印して直接接する意義は極めて大きい。
今回は、単なる調査・意見聴取ではなく、建設的な提言を行い、インドに対する関心を印象付けるよう配慮した。「調査団」の名前は削除した。多くの政府要人などが会談に応じたのは、このようなミッションの姿勢を評価したことが一因と考える。各要人との会談についてあらかじめ発言の要点と発言者を決め、万全を期した。
デリーにおいては、シャルマ商業・工業・繊維大臣、シンデ電力大臣、ラメシュ農村開発・飲料水・衛生大臣、クマール計画・科学技術担当国務大臣、アルワリア国家計画委員会副委員長の閣僚のほか、ナイヤール首相府顧問(注。マンモハン・シン首相の経済政策についての最高顧問)、チャンドラシェカール通信・IT省筆頭次官といった要人と有意義な意見交換を行うことができた。
デリーでは、デリー・メトロの本社を訪問し、一駅ではあるが体験乗車した。この都市交通システムは大成功を収め、インド人はODAで支援した日本に対し最大の賛辞を惜しまない。駐印大使としてその建設に深く関わった私にとっても、最大の誇りである。ムンバイ、チャンナイ、コルカタ(増設)、バンガロールなどで、同様の計画が進捗中である。
デリーでは、日本企業を含む投資のメッカである南西の郊外グルガオンも視察した。
最大の経済都市ムンバイでは、インド準備銀行(中央銀行)やムンバイ証券取引所といったインド経済の中枢部を訪問して、チャクラバルティ中銀副総裁などと会談したほか、内部を見学した。マハラシュトラ州政府では、州首相の官房長官役でもあるガイクワド首席次官が、工業担当次官ほか幹部を一堂に集めて歓迎してくれた。
インドで105年の歴史を誇るインド商業会議所(IMC)を往訪し、大歓迎を受けた。FECはすでに2回にわたりIMCと協力協定(覚書、MOU)を締結しているが、協力をより具体化するために、松澤理事長とドシー会頭が新たなMOUに署名した。
ムンバイでは、旧市内や郊外に林立する高層ビルと、シヴァージ中央駅(世界遺産)、タージ・ホテルとその前にそびえるインド門、ボンベイ大学などの歴史建造物とは、新旧インドの好対照をなす。しかし、そのような立派な都市の顔の傍らで、中央駅の隣にあるマーケットは生活のにおいをフンプンとさせ、空港から市内に広がるスラム街は、経済格差とカースト制というインドの「陰」を垣間見せる。強烈な衝撃を与える大都会である。
休日やアポの合間を利用し、世界遺産を視察した。アグラではタージ・マハルとアグラ城、ニュー・デリーではフマユーン廟やクットゥブ・ミナール、ムンバイでは、エレファンタ島のシバ神を祭る石窟寺院である。インドを理解しインドで成功するためには、古い歴史や文化の知識、地理・文化・宗教・言語などの多様性への理解は、必須不可欠である。
(平林博顧問・公益財団法人日印協会理事長・FEC日印文化経済委員会顧問「所感」抜粋)