English

バルト3カ国の1つのラトビアのシュレッセル運輸大臣を招き第83回FEC日欧経済等フォーラム・歓迎昼食会を開催

ラトビア 日欧文化経済委員会

2008年05月13日更新

FEC日欧文化経済委員会=日本とラトビアの経済交流促進について率直な意見交換を行なう。ヴァイヴァルス駐日大使らも同席

立ってあいさつのシュレッセル・ラトヴィア運輸大臣

立ってあいさつのシュレッセル・ラトヴィア運輸大臣

第83回FEC日欧経済等フォーラム会場の様子。左側はFEC役員

第83回FEC日欧経済等フォーラム会場の様子。左側はFEC役員

とき

平成20年(2008)5月13日(火) 11時45分〜13時45分

ところ

ANAインターコンチネンタル東京・37階「シリウス」

概要

シュレッセル・ラトヴィア運輸大臣を招き第83回FEC日欧経済等フォーラム・歓迎昼食会を開催

内容

懇談・質疑応答

 

埴岡FEC副理事長:シュレッセル運輸大臣は、ビジネスの経験を持ち、28歳の若さで経済大臣に就任されその後副首相等を歴任された方で、今回始めての来日である。本協会を代表して歓迎申し上げる。

また、昨年9月に河野日欧委員長を団長とするFECミッションが貴国を訪問した際には、ヴァイアヴァルス駐日大使はじめ貴国政府には大変お世話になったことをお礼申し上げる。本日は大臣を囲んで率直なお話し合いができることを望んでいる。

重原FEC日欧委員:10年前になるが、OECD副事務総長のとき団長として貴国を含めヴァルト3カ国を訪問し、貴国首脳との会見をしたことを覚えている。(中略)両国そしてFECと貴国との関係発展を祈念して乾杯!

シュレッセル運輸大臣:本日の出席を感謝する。世界各国を歴訪してきており、今回始めての訪日であるが、家族を含め日本料理のフアンである。ヴァイアヴァルス大使からは、日本との付き合い方につきいろいろアドバイスをもらったが、今率直な話し合いをということであったので、政治家であるが、私もビジネスの世界を経験していることもあり、率直にお話しすることとしたい。
日本を理解するには時間が必要とされるが、我が国は50年間ソ連に占領され貴重な時間を失っている。そのため待っている時間は許されない事情がある。独立は91年であるが、実際の経済発展は04年のEU加盟からである。我が国をどの方向に進めるべきかの決断を迫られた。そこで日本との関係を強化するとの観点から、2年前に大使館を開設している。

私ごとを少し述べれば、ノルウエーに留学し20歳のとき初めてビジネスをはじめ、ラトヴィアとノルウエーの関係強化を行ってきた。その結果、ラトヴィアは当時あまり知られていなかったが、現在ではノルウエーはラトヴィアへの最も活発な投資国となり、約7000人の者が同国関係の会社で働いている。

また先ほど紹介にもあったが、28歳で経済大臣に就任したが、これは政治の正しい発展が経済の発展に重要であることがわかったためであり、現在の政権は私にとって6番目のとなっている。

首都リガには、世界の主要銀行が集まってきており、私はリガを国際的なbusiness centerにしたいと思っている。6000万トンの陸揚げができる不凍港を3っ有し貨物を一箇所に置く事ができる能力がある。先日スロヴェニアでEUの交通大臣会議が開かれたがコンテナー輸送が今後600%の伸びを示すとされている。我が国として500から700万トンのコンテナービジネスを実現していきたい。今、ロシアへの貨物はフィンランド経由が多いが、リガを基点とするほうが近く、中国もロシアへの輸送を我が国の鉄道を利用するようになってきている。我が国としては、ロシアへの進出をサポートする用意があり、同時にEU各国への輸送能力がある。

問題は、それではリガに如何にして貨物を集めるかであるが、空港整備を行い、2000万人の利用を可能にする新ターミナルを建設し、リガ空港をハブの空港としていきたい。ロシアにも近く、地の利のある空港であることを協調しておきたい。

今回の訪日はコペンハーゲン経由できたが、距離的ロスが多く5時間を無駄にしている。(本日はANAの野村吉三郎最高顧問と懇談してきたし、明日はJAL役員と話をする予定であり、ビジネス関係を構築していきたい。)エアー・ヴァルティックも2年で日本への新ルートを開設したいと思っている。(今後日本との関係強化に向けては、誰と話しをすればよいのか、助言して欲しい。このテーブルにいる方々と思う。本格的はビジネスの始まりとしたいと思っている。)

岡田FEC参与:貴国訪問の際には、貴国の外務省、ヴァイアヴァルス大使のお世話になった。改めて御礼申し上げる。訪問時、港、空港、鉄道の関係者の話を聞いてきた。今後インフラ整備は進められると考えている。

貴国訪問で得られた印象は、貴国はロシアやEUに対して地理的優位があるということであった。私は、この方面の専門家ではないが、この点日本企業の誘致に際しては、日本企業は慎重なところがあることを考慮に入れて、どのような優位性、利点があるのかもっと具体的な説明があったほうが良いのではないか。例えば、フィンランド、リトアニアの訪問時にも両国いずれもがロシアへの地理的優位を主張されていたが、そのなかでラトビアのメリットが他国に比べどのように優れているのか、税制、コストなどもっと判りやすくかつ具体的な説明があったほうが検討しやすいとの印象を持った。

大臣:優れた点を説明すれば、リガ経由のほうが300Km近い。リトアニアには港は一つしかない。また、同国にはベラルーシが地理的に入ってこざるを得なくてスピードが落ちる。また我が国はロシアに近い。政策としてインフラ投資を進めていく。リガの港にターミナルを建設しどの地域にも運べる事ができるようにする。サンクトベルグ港は冬季凍結し既に満杯であり、能力の限界に近づきつつある。大手の銀行はリガに拠点を持っており、香港や、シンガポールのようなbusiness centerにしたい。

一つの提案であるが、政府と政府でティームをつくり検討してみることはどうか。ビジネスにはオープンでありたいと思い日本にやってきた。

メリットを列挙すれば、距離が短い、ロシア語を話すものが多くいる、ロシア人のメンタリティーを理解できる、コストは安い、となる。進出したい企業がいれば自分もサポートする。

宮脇FEC理事:国としての安定度はどうか。ロシアの新政権との関係をどのように考えておられるか。

大臣:EUメンバーとして、EUの法律を使っている。また(シェンゲン協定で)人の移動も自由になった。04年までロシアとの関係には厳しいものがあったが、NATOにも加盟し、昨年10月には国境協定もロシアとの間で締結され安定している。1週間前にロシアの運輸大臣、国鉄総裁と会ってきた(が、鉄道はラトヴィアがプライオリティを持っているといっていた。)。出発前首相とも会ってきた(が、日本との関係強化をしたいということであり来年は首相の訪日もあるかもしれない。)。

名倉FEC理事:ビジネスセンターのことを述べておられたが、どのようなことを考えているのか。

大臣:我が国の国境がEUの国境となり、EU言語を話すものも多くおり、東のメンタリティーを良くわかっている。58%の国民がロシア語を話し、北欧の国よりも旧ロシア諸国との関係は深い。ウズベキスタン、カザフスタンの航空路を開設したが、満席である。将来的にどう進めていくかを話し合いたい。

名倉:思うにフライトと金融がメインテーマであろう。日本の銀行の進出がまだであるが、金融の面をどう考えておられるか。

大臣:北欧の銀行も出てきている。日本の銀行の進出を歓迎するし応援したい。ビジネスマンがどの面に興味を持つかが大切。ここに参加している投資庁のオゾロス氏と運輸局の女性がその窓口となり協議に応じる。

埴岡副理事長:残念だが閉会時間が来た。あえて本日の会議をまとめると次のようになる。

(1)まずはビジネスマンの相互訪問などの人物交流が重要

(2)ラトヴィアへの関心を高める事がまず重要。しかし現状は日本の経済界では低い。

(3)経済ミッションの相互派遣時に投資セミナーを開催しビジネスチャンスの機会とするように互いに尽力する。

(4)政府間の取り決めや協議も良いが、政府間はまずは基本的な枠組みを決めることだ。民間同士のほうが互いにビジネスチャンスと思えばスピードは速い。ビジネスに国境は無い。

(5)英領100年であった香港、シンガポールのようになるためには時間がかかる。また、人材、カネそしてノウハウの蓄積とハードがいる。

(6)コストが安ければ自然に目を向けるというようにビジネスは生きている。

(7)前(1)、(3)のような両国間の交流を地道に続けることが肝要である。

本日は率直な意見交換ができたことを喜んでいる。もう少し時間があれば、さらにまとめられるが残念だ。次の予定がおありになるのでこれでお開きとする。

< 一覧へ戻る