EU・G8議長国の駐日ドイツ大使を招き日独、日欧関係の今後を大いに語る
2007年02月14日更新
第63回FEC日欧経済等フォーラム FEC日欧文化経済委員会
とき
平成19年(2007)2月14日(水) 12時〜14時
ところ
ホテルオークラ東京・本館11階
概要
デア駐日ドイツ大使を招き第63回日欧経済等フォーラム。
内容
「日独、日欧関係の今後とEU」を演題にハンス=ヨアヒム・デア駐日ドイツ大使がその考え方を大いに語る(昨夏に23年ぶりの日本勤務、日本語も交えて)
FEC日欧文化経済委員会(委員長・河野俊二東京海上日動火災保険(株)相談役)は2月14日、ハンス=ヨアヒム・デア駐日ドイツ大使を招き第61回日欧経済等フォーラムをホテルオークラ東京で開催した。開会に際して、河野日欧文化経済委員長が、「安倍首相訪独時にメルケル首相と日独両国は戦略的パートナーとして確認された。今後の協力分野、拡大EUの行方、などの話を伺いたい」と主催者挨拶。埴岡副理事長より、「デア大使は日本勤務三度目で気配り上手」と大使を紹介した後、デア大使より、「日独関係の今後とEU」をテーマに、両国の協力可能分野、内政面の課題について見解が述べられた。研究会にはFEC役員・会員が多数参加し、講演後活発な議論がかわされた。
07年前半ドイツはEU議長国を務める。日独両国は、民主主義、市場経済等基本的価値を共有する経済大国で、国際的責務を担う成熟国家である。日独パートナーシップは次の分野で協力可能だ。
(1)安全保障、国防:大量破壊兵器拡散防止、テロ対策。ドイツは国連軍中心に各地に9千人派兵している。両国は中立、非核保有国の共通の立場から、世界平和へ貢献できる。(2)G4による安保理改革の実現、(3)エネルギー政策:安定供給確保と消費効率向上が課題。(4)世界貿易:多国間自由貿易。透明性と監視機能強化が課題。(5)知的財産権保護、(6)世界保健、(7)災害予防:日本の経験を第三世界へ助言、支援。(8)貧困対策:両国からの支援。
このほか、EU50年の経験やNATOの集団防衛体制のうち、アジアの地域間協力へ適用可能な部分を両国で協議したい。30年前の日米欧三極委員会では、日欧関係が他より弱かったが今も同じだ。日欧関係を強化すれば全体の三極関係も強まろう。
内政面では多くの課題が共通する。少子高齢化から、年金、介護、医療等の社会保障問題は深刻。教育制度改革も同様に問題。雇用問題では、勤務実態を如何に制度化するかが課題。終身雇用は漸減した。若者の雇用は流動化し、賃金格差とワーキング・プアが増加した。
外国人労働者問題はドイツが日本より経験豊かだ。60年代から受入れを積極化させた結果、経済難民や政治亡命者も大量に流入した。社会への同化策が不十分なため今でも問題を抱えている。
行政については、国・地方と民間の分担につき十分な議論が必要だ。
最後に、(1)若者の関心を惹起させること、(2)両国間で科学技術協力拡大の可能性があること、を提言したい。3月25日はEU誕生50周年記念日であり、将来は日欧パートナーシップの記念日ともしたい。
メルヒャー・ドイツ テレコム社長: |
当社とNTTの協力等日欧間の科学技術協力は積極的だ。日本より欧州の関心が低いのが残念。欧州側の意識改善が望まれる。 |
大使: | EU五億人市場は見過ごせない。科学技術協力はフルには活用されていない。もっと伸ばそうという意味だ。安倍首相や経団連ミッションの訪欧がその意欲を反映している。インド、中国の台頭を欧州も注目しているが、両国合わせても技術力は日本に負ける。G7から拡大したのは反対だが、今やG3よりG8が重要。 |
河野委員長: | 日本は、アジア、欧州両方に架け橋を作りたい。何か助言を。 |
大使: | 両方向重視は可能だ。日本人は地域統合や集団的自衛権にナイーブ。欧州の経験を簡単に応用できないが、東アジア統合問題は現実を直視する必要があろう。 |
埴岡副理事長: | 議論し尽くせなかった分、次回は貴ドイツ大使館で大使の招きによる開催をお願いしたい。 |
閉会挨拶 久米邦貞日欧文化経済委員長代行・元駐ドイツ大使
「若者の関心惹起を」「科学技術協力強化」の提言には感銘した。日独の協力可能分野につき、対話と相互理解を深めるべく、FECとドイツ大使館との協力を続けたい。 |
[出席者]
河 野 俊 二 FEC副会長・日欧文化経済委員長、東京海上日動火災保険株式会社相談役 佐 藤 晃 一 FEC副会長、株式会社ホテルオークラ社友 野 村 吉三郎 FEC副会長、全日本空輸株式会社最高顧問 久 米 邦 貞 FEC日欧文化経済委員長代行、元駐ドイツ大使 田 中 宏 FEC理事、株式会社クレハ代表取締役社長 神 山 茂 FEC理事、株式会社ジャステック代表取締役社長 宮 脇 宗 嗣 FEC理事、アール・ビー・エス証券会社東京支店特別顧問 ホルスト・メルヒャー FEC日欧文化経済委員会員、ドイツテレコム株式会社代表取締役社長 藤 井 威 FEC日欧文化経済委員会委員、株式会社みずほコーポレート銀行顧問 菅 原 邦 彦 監査法人トーマツ代表社員 高 田 重久 タカタ株式会社代表取締役専務 岩 波 徹 中部電力株式会社顧問 渡 邊 五 郎 森ビル株式会社特別顧問 宍 戸 幹 尋 株式会社日本航空上席執行役員東京支店長 岡 田 修 三 東京海上日動火災保険株式会社特別任命参与 フロローフ ミハイール 帝人株式会社海外事業企画室 田 丸 周 FEC常任参与、株式会社リケン常勤監査役 (FEC本部役員) 斉 藤 邦 彦 民間外交推進協会(FEC) 理事長 埴 岡 和 正 民間外交推進協会(FEC) 副理事長・専務理事 |
(順不同・敬称略) |