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アロヨ・フィリピン大統領を招き第14回日本アセアン経済文化フォーラムを盛会裡に開催

フィリピン 日アセアン文化経済委員会

2009年06月19日更新

大統領が日比関係の重要性について熱弁をふるう=60カ国の駐日大使を含む400人のFEC会員らが聴講

講演するグロリア・アロヨ フィリピン大統領=帝国ホテル・富士の間

講演するグロリア・アロヨ フィリピン大統領=帝国ホテル・富士の間

立錐の余地なしの第14回日アセアン経済文化フォーラム開催風景

立錐の余地なしの第14回日アセアン経済文化フォーラム開催風景

アロヨ比大統領と稲森俊介日アセアン文化経済委員長の個別会談

アロヨ比大統領と稲森俊介日アセアン文化経済委員長の個別会談

とき

平成21年(2009)6月19日(金) 11時〜12時

ところ

帝国ホテル東京「富士の間」(開会前に稲森日アセアン委員長、内藤明人、荒木浩両副会長との会談も)

概要

アロヨ・フィリピン大統領を招き第14回日アセアン経済文化フォーラムの開催

内容

テーマ

テーマ
「日比協力関係の今後の展望と東アジア統合への課題」

概 要

民間外交推進協会(FEC)の日アセアン文化経済委員会(委員長・稲森俊介味の素(株)特別顧問)は社団法人アジア国際交流機構(AIS)と共催により6月19日、フィリピンのグロリア・アロヨ大統領を招き帝国ホテル東京で第14回日アセアン経済文化フォーラムを開催した。フィリピンは、アセアン10カ国中日本に最も近く、政治的、経済的に関係が深い重要な国であり、昨年12月には日比経済連携協定(JPEPA)が発効した。フォーラムにはFEC法人会員各社代表のほか、経済界、学界、日本大使OBをはじめ在京60カ国の大使、桂誠駐フィリピン大使ら政府関係者、報道関係者等400人強が出席した。

アロヨ大統領は、政府の実務訪問賓客として来日し、前日の麻生首相との会談では日比間の一層の経済関係強化を目指すことが確認された。開会に際して、稲森FEC日アセアン文化経済委員長が、「日比両国は歴史的、経済的に緊密な関係。JPEPA発効により更なる発展が期待される。FECも27年間の交流を通じて長年友好な関係にある。両国関係の展望と東アジア統合の課題をテーマとする本日のフォーラム開催は大変意義深い。アロヨ大統領のご出席に心からの謝意とフィリピンの発展に敬意を表したい」」と主催者挨拶。続いて埴岡和正FEC理事長は、「嘗てフィリピンはルソン島と呼ばれ海の果ての国であった。伊良湖畔で柳田國男が体験し、島崎藤村が詩に詠んだ椰子の実は、ルソン島から海のシルクロードに1,000年もの間日本近海に流れ着いた。本日は青山学院大学グリーンハーモニー合唱団男女20人の「椰子の実」の歌で、大統領に歓迎の意を表し今後とも椰子の実が日本へ流れ着き日比交流が発展することを祈念したい。第14代アロヨ大統領は父上も第9代大統領の名家の出身で才色兼備。経済学者から政界へ転出した。2001年の大統領就任以来内政、外交両面で活躍されている」とアロヨ大統領を紹介した。合唱団が「椰子の実」を斉唱した後、アロヨ大統領は「日比協力関係の展望と東アジア統合への課題」を演題に、国際情勢、アジアと日本、日比関係等についてきれいな英語で率直な所感を述べた。

講演要旨

FECはフィリピンの長年に亘る友人で、本日のフォーラムにお招きいただき感謝する。昨年来の未曾有の世界の経済危機から、経済関係は相互連関性が緊密であることを学んだ。今日景気回復の光が見えてきたが、日本のIMF資金協力やアジア域内の外貨融通枠組み拡大等の主導的貢献も大きい。麻生首相の「アジア経済倍増に向けた成長構想」達成のための、政府開発援助を活用したインフラ整備や環境投資面の資金支援を歓迎する。
北朝鮮の核実験について、比は日本、アセアンと共同歩調をとる。国連安保理の制裁決議や6カ国協議による解決の必要性を支持する。また国際原子力機関の理事国として原子力の平和利用と核不拡散の努力を続ける。比のエネルギー需要の44%が再生可能エネルギーで供給され、今後発電計画でこの比率の上昇を図りたい。トヨタは比で代替エネルギー投資計画があるが、更なる日本企業の協力が必要。東南アジアは気候変動に脆弱で、経済的影響は永続する。「コーラル・トライアングル」海域にある比への影響は現下の経済危機より大きい。日本の「2050年温室効果ガス80%削減」目標を、率先して他国に約束させてほしい。
好調であった比経済も景気悪化が深刻であるが、経済改革の推進と財政健全化に努めており、最悪の事態は回避されている。付加価値税の増税と民営化の推進により公的債務比率が改善し、財政出動の余地ができた。昨年4.6%の実質成長率は今年もプラスを維持しよう。
JPEPAの枠組みで5月から比人の看護師と介護福祉士が日本で研修中。若い比人が日本の医療・介護サービス分野の人手不足を補っている。日比両国の互恵的関係の深化を期待したい。日本には比船員も多く供給している(比率70%、3万人)。日本の船主は比での教育訓練に効果をあげている。医療等他の分野でも応用できよう。日本の、インド洋の海賊問題に対する自衛隊艦船派遣やアフガン問題への対応は、国連安保理の常任理事国入りにふさわしい態度と高く評価する。
近年、アセアンの経済統合は大きく進展し、域外国との連携も活発である。日本もこの動きに同調すべく中国、韓国、インド、豪州、NZとの自由貿易協定締結が望まれる。アジアは世界人口の6割を占め、4兆ドル以上の外貨準備が蓄積されている。さらに東アジアは世界最高の民間貯蓄率を誇り、世界の経済成長の主力エンジンとなり続ける潜在力が大きい。
日本は50年間比を支援し続けた。心から感謝したい。日本は山を動かす力があり、地域の安定と発展に多大な貢献をしている。比も国内改革の継続と外国投資の誘致により、貧困の削減、経済の活性化を実現し、いつか日本をめざしたい。アジア人はファイターで難局に強い。経済危機から脱出した時アジアは最強地域となろう。

<埴岡和正FEC理事長>
格調高いスピーチに感動した。「日本は50年間山を動かした」「アジア人はファイター」と述べられ、世界経済危機脱出に果たす、日本とアジアの役割の大きさを痛感した。FECは、日本の各界要人が外国首脳の生の声を聞き親しく接することを喜びの場を提供しており、今年はアロヨ大統領で6人目の首脳を招いてのフォーラム開催となる。時間の関係で質疑応答の時間はとれないが、公式随員の主要閣僚、駐日大使を紹介したい。と述べロムロ外務長官、アンガラ上院議員、ロケ労働雇用長官、レクト国家経済開発長官等各閣僚と元外務長官のシアゾン駐日比大使をそれぞれ紹介した。
(この後、東京電力株式会社元会長の荒木浩FEC副会長よりアロヨ大統領へ記念品として日本鶴の飾り皿が贈呈され、松澤建FEC副会長より謝意の意が述べられた)

<松澤建FEC副会長・青山学院理事長のお礼あいさつ>
アロヨ大統領の講話により日比両国のあらゆる交流促進を再確認できた。FECも民間外交推進の目的に向かって努力すべく決意を新たにしている。本日ご参集の皆様に御礼申し上げ、アロヨ大統領並びにフィリピン国に神の祝福とご加護を祈りたい。
(田丸 周FEC常任参与・(株)リケン常勤監査役・記)

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