外務大臣政務官ら外務省幹部とASEAN10カ国の駐日大使等を招き第13回日本アセアン経済文化フォーラムが民間外交推進協会(FEC)等の主催により盛会裡に開催された
2008年10月28日更新
日アセアン文化経済委員会 社団法人アジア国際交流機構(AIS)
とき
平成20年(2008)10月28日(火) 12時〜14時
ところ
東京會舘「ゴールドルーム」
概要
外務大臣政務官ら外務省幹部とASEAN10カ国の駐日大使等を招き第13回日本アセアン経済文化フォーラムを開催。
内容
日・ASEANのEPA発効を前にしての祝賀会並びに日本とASEANとの今後の協力関係についての意見交換
FEC日アセアン文化経済委員会(委員長・稲森俊介味の素(株)特別顧問)は社団法人アジア国際交流機構(AIS・理事長・稲森俊介味の素(株)特別顧問)と共催により、10月28日第13回日本アセアン経済文化フォーラムを東京會舘で開催した。本フォーラムは1986年以来定期的に開催しており、日本側とアセアン各国大使等が一同に会し交流を深めることにより、日本とアセアン間の友好関係の増進に貢献している。今回は日本とアセアンの包括的経済連携協定(AJCEP)の発効を記念して開催された。来賓としてアセアン10カ国の駐日大使等、御法川信英外務大臣政務官、猪俣外務省南部アジア部長ら関係者等を招き、FEC役員、法人会員ら多数が出席し盛況のフォーラムとなった。
開会に際してFEC埴岡理事長が、「FECとアセアン各国大使とは4半世紀を越える友人の間柄。金融危機を契機に歴史の1点が大きく変わる時期の開催で大変意義があろう」と挨拶。AIS稲森理事長より、「本フォーラムは毎年拡充され、日本とアセアン各国の関係強化に寄与してきた。過去6年間自分はFEC経済調査団の団長として毎年2カ国訪問してきたが、来年2月の第12次経済調査団はタイ、カンボジア、ラオスを訪問する。金融危機により世界は新たな成長モデルを模索する段階で、双方の対話がいっそう重要だ。本会を貴重な意見交換の場にしたい」と主催者挨拶。続いてACT(在京アセアン・コミティー)議長のビン駐日ベトナム大使が、「フォーラムを連続開催し人的・民間交流に尽力しているFECに感謝する。日本はアセアンの発展に貿易・投資面で重要な役割を果たしており、AJCEPの発効は、双方の経済交流強化に大きく貢献しよう。金融危機はアジア金融市場にも深刻な打撃だ。チェンマイ・イニシアティブ(二国間通貨スワップ取極)の協力も必要か。本会での意見交換が楽しみだ」と挨拶。政府来賓の御法川外務大臣政務官より、「AJCEPの発効が日アセアン関係の深化・拡大と東アジアの地域統合促進に貢献することを期待する。日本とアセアンは戦略的パートナーとして、メコン川流域開発、鳥インフルエンザ対策、犯罪対策への協力を推進中。気候変動等地球規模の問題でも連携強化が重要。本会での議論が日アセアン関係の更なる飛躍の契機となることを期待したい」と挨拶があった。
続いて埴岡理事長よりケオプバン駐日ラオス大使、タン駐日ミャンマー大使らアセアン各国大使ほか、イサラバックディ駐日タイ公使と猪俣弘司外務省南部アジア部長ら主な出席者が紹介され、藤田弘道FEC副会長(凸版印刷(株)相談役)の発声で乾杯が行われた。昼食の後、EPA問題の第一人者、渡邊頼純慶応大学教授の司会により懇談・意見交換が行われた。
千野境子(株)産経新聞社特別記者:外国人労働者受け入れ問題につき、日本企業やアセアン各国の意見を伺いたい。
ラジ・マレーシア大使:日本の看護師・介護士研修受け入れに感謝する。雇用面だけでなく人的交流の促進として期待する国が多い。金融危機については、アジアの教訓が学ばれていない。透明性の高い銀行制度の再構築が必要だ。アジアは改革の結果ファンダメンタルズは健全で外貨準備も手厚い。危機を乗り越える自信がある。AJCEP発効により複数の計画が進行中。アセアン憲章も発効予定で、アセアン経済の強化に有効だ。
田中(株)クレハ会長:日本の業界により意見は異なるが、ドイツのように単純労働力の移入には反対だ。高度の技能を日本で修得・就業後、母国へ持ち帰り母国の発展に寄与することが理想だ。日本の農業、漁業も技術レベル高く、習得し母国で生かしてほしい。化学会社では技能労働者を3〜5年受け入れ、帰国後技能を伝播させるという技能交流を期待する。
リドゥワン・インドネシア参事官:田中会長に賛成。インドネシアから6千人が医療等様々な分野で研修中だが、3年間の期限を延長してほしい。日本も若年労働者を希望している。
横田淳大使:日本政府は単純労働者を受け入れない方針だが、世論は割れている。各省の抵抗も強い。 AJCEPが12月に発効するのは日本、シンガポール、ラオス。他国の早期発効を希望する。 2国間協定の上にAJCEPを結ぶ理由は、アセアン域内での企業の最適生産に好都合となり、2国間協定からもれている小国もカバーできるからだ。現在交渉中のEPAは、GCC諸国、インド、豪州までだ。米国、ASEAN+6、への展開はむずかしい。結果としてWTOドーハ・ラウンドを重視する必要がある。
金子みずほコーポレート銀行海外営業推進部長:邦銀のサブプライム損失は少ないが、株価下落から自己資本を増強する計画だ。全体が落ち着けば再び世界市場でイニシアティブを取りたい。アセアン市場では地場企業ビジネスも増加しよう。
渡邊慶応大学教授:AJCEPはアセアン全体との経済交流促進の枠組みであり、日本企業の海外展開に大きく寄与しよう。
ラジ・マレーシア大使:横田大使の指摘された、「アセアン内の経済格差の存在」は認識しており、格差縮小すべく各種の計画を開始している。
田辺靖雄外務省経済局審議官:日本とアセアンは共に98年の危機を克服した。現下の金融危機の打撃が欧米より少ないのは我々の正しい政策の結果で、自信を持ってよいと思う。麻生首相はアジア欧州会合で、「内需依存型経済成長を目指し、アジアの貯蓄を域内に向ける政策を強化すべし」と強調され同意された。AJCEPの発効は時宜を得たものだ。
ハモラリン・フィリピン公使:わが国から日本への看護師派遣が楽しみだ。AJCEPは2国関係と地域統合強化の効果がある。ドーハ・ラウンドの再活性化を期待する。
渡邊慶応大学教授:米国はAPEC全域の自由貿易協定を提案し、シンガポールが参加するP4(シンガポール、チリ、ブルネイ、ニュージーランド)への参加も意向表明している。P4の見通しはどうか。
チンチョン・シンガポール大使:APEC全域のFTA推進は政治的に困難だ。APEC参加国は多様で台湾も入っている。わが国はP4を出発点として考えており、日本も含め多くの国の参加を希望する。ドーハ・ラウンドが頓挫しており、P4からAPEC全域へ伝播させたい。わが国は小国故移民社会だ。毎年3万人出生し3万人の移民流入がある。6万人の人口増の半分が外国人。日本の移民受け入れ策の成功を期待する。
岡田富美也元FEC理事長: 98年通貨危機や巨大中国、インドの出現あったが、アセアンは着実な発展を遂げてきた。政治的問題あろうが結束よく安定度も高く、日本も協力しやすい。ユニーク且つ存在感が強い。
渡邊慶応大学教授:AJCEPはユニークな枠組みで、日本・アセアン協力の新しい出発点となろう。本日は有意義な意見交換ができた。
FEC副会長の田中宏(株)クレハ会長:アセアン各国大使、外務省関係者、FEC会員の皆様の参加に厚くお礼申し上げ、アセアン・日本の相互理解と交流の更なる深化を願って閉会の挨拶としたい。
埴岡理事長は、FECの全ての会議等催しは定刻に始まり定刻に閉会で行っている。定時の14時に丁度なったので、これで閉会すると述べフォーラムを終えた。